【岩屋外務大臣】冒頭一つ御報告がございます。
本日、グラス次期駐日米国大使が着任されました。早期の着任を歓迎したいと思います。
私(岩屋大臣)も、早速、来週月曜日に表敬をお受けする予定でございます。日米同盟の更なる強化・深化、そして、日米経済関係の更なる拡大・発展に向けて、同氏とこれから緊密に連携、協力していきたいと考えております。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
冒頭発言
グラス次期駐日米国大使の着任
日米関税協議(第1回協議と今後の対応方針)
【読売新聞 上村記者】日米の関税交渉についてお伺いします。昨日、赤澤大臣とベッセント財務長官らの、最初の、1回目となる対面での協議が行われました。トランプ大統領とも急遽面会したわけですけれども、この協議の現状認識、評価についてお伺いします。併せて、今月中に2回目の協議を行うことでも合意したということですが、それに向けての方針についてもお願いいたします。
【岩屋外務大臣】まず、米国時間の16日、赤澤経済再生担当大臣は、ホワイトハウスにて、トランプ大統領を表敬し、続けて、同じくホワイトハウスの中において、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、及びグリア通商代表との間で、米国の関税措置に関する日米協議を実施いたしました。大統領とは約50分、また3閣僚とは75分ぐらい協議をしたと承知しております。
トランプ大統領への表敬の場には、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表といった、米国の関係閣僚も参加されました。赤澤大臣からは、石破総理のメッセージとして、「日米双方の経済が強くなるような包括的な合意を、可能な限り早期に実現したい」との考えを伝えたと承知しております。
トランプ大統領からは、国際経済において、米国が、現在置かれている状況について率直な認識が示されたということです。また、米国の関税措置について、率直に述べつつ、日本との協議が最優先であるとの発言があったと聞いております。その上で、両政府間で協議を続けていくことを確認しております。
その後の日米協議では、赤澤大臣から、米国の関税措置は極めて遺憾であるということを述べ、我が国の産業や、日米両国における投資・雇用の拡大に与える影響などについて、我が国の考え方を説明した上で、米国による一連の関税措置の見直しを強く申し入れたと承知しています。
今般の協議の結果、日米間の以下の点について一致しております。
まず、第一に、双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意し、首脳間で発表できるように目指すこと。第二に、次回の協議を今月中に実施すべく日程調整をすること。第三に、閣僚レベルに加えて、事務レベルでの協議も継続すること。
この3点で一致を見たということでございます。
今回の協議も踏まえつつ、来たるべき2回目の会合に向かって、政府一丸となって、全力で取り組んでいきたいと考えております。
私(岩屋大臣)は、まさに、次につながるスタートが切れたのではないかというふうに考えているところでございます。
日米関税協議(日本が先例となる意義)
【朝日新聞 加藤記者】米国との関税交渉をいち早く進める日本に対して、他国も関心を持っていると思います。16日のフランスのマクロン大統領と石破首相の電話会談では、関税措置に関する議論もあったとのことですけれども、他国から日本に対して、情報共有を求める動きなどありますでしょうか。また、「先例」となり得ることを、外交上どのように生かしていくか伺います。
【岩屋外務大臣】他国との具体的なやり取りについては、外交上のやり取りでございますので、言及は差し控えたいと思いますが、当然、同志国・友好国と、この問題について、意思疎通を図る、行うということは、大変有益であると思います。
そうした考え方から、御指摘のマクロン・フランス大統領との電話会談に加えまして、石破総理は、先週10日に、スターマー英国首相との間で、また、14日には、ウォン・シンガポール共和国首相との間で、更に16日には、アンワル・マレーシア首相との間で、それぞれ電話会談を行いまして、米国の関税措置などが、世界経済や多角的貿易体制に与える影響を踏まえつつ、経済分野につき、幅広く議論を行ったと承知しております。こういう意見交換、意思の疎通は、これからも大いに行っていくべきではないかというふうに思います。
おっしゃるように、トランプ大統領も「日本が最優先だ」という御発言をされておられますし、その意味では、何て言いますか、フロントランナーというか、一番最初に、具体的な協議を行うことになりましたので、当然、国際社会の注目も集めていると思います。
何が日本の国益に資するのか。そして、また、国際公益に資するのか。そういう観点から、あらゆる選択肢の中で、何が最も効果的なのかを考えながら、取り組んでいくことが大事だと考えております。
日米関税協議(赤澤大臣のトランプ大統領表敬)
【日経新聞 馬場記者】続いて、赤澤大臣の訪米についてお伺いします。今回赤澤大臣は、トランプ大統領との会談後に、記者団に「格下も格下」「直接話してくれたことに感謝している」と発言をされました。これについて、へり下った交渉姿勢だとして野党から交渉姿勢の見直しを求めるような指摘もありました。いわゆる「毅然と対応した方がいい」という指摘だと思いますけれども、岩屋大臣としては、この御発言をどう受け止められたかとことと、今回、大統領の御面会については、従来から米国の外交上、大統領が、そういった閣僚会合に顔を出す・挨拶をするということは、一般的にあることだと思いますけれども、この外交上の評価についても併せて御認識をお伺いします。
【岩屋外務大臣】大変謙虚で、いいのではないでしょうか。私(岩屋大臣)は、そう思います。通常は閣僚同士でやるということですが、大統領が出てこられたということに、敬意を表しての赤澤大臣の御発言だったのではないかなと思います。一方で、赤澤大臣は、言うべきことはしっかりと言ってきていると思いますので、その意味では、堂々たる協議をしていただいたと思っております。
日米関税協議(在日米軍駐留経費)
【NHK 米津記者】赤澤大臣の訪米に関連して伺います。赤澤大臣とトランプ大統領との面会の中で、在日米軍の駐留経費について、トランプ氏の方から発言があったのかどうか、事実関係をお伺いしたいのと、これまでもトランプ氏は、考えを示されてきていますけれども、日本政府として、関税交渉と安全保障の話というのをどのように今回の交渉において整理しているか、また、日本政府として、こうしたトランプ氏の姿勢を踏まえて、どのように対応していきたいか、お考えを伺います。
【岩屋外務大臣】今般の協議における議論の詳細については、外交上のやり取りでもありますし、本当に大事な協議です。やはり、しっかりと合意ができるまでは、お互いが、発言には気をつけていかなければいけないという協議だと思います。
したがって、中身についての言及は、差し控えたいと思います。
ちなみにですが、いわゆる特別協定、いわゆる在日米軍駐留費というのは、今の取極の期限は、2027年3月でございますので、基本的には、来年になって、毎回そういうふうにやってきておりますが、日米間で協議をスタートさせるというのが、通常の在り方だと思います。
主たるテーマというのは、当然のことながら一連の関税措置についてということだと思いますので、そこを中心に、議論が展開されていくのではないかと思っているところでございます。
靖国神社春季例大祭
【共同通信 阪口記者】話題変わります。21日からの靖国神社の例大祭について伺いたいと思います。大臣、参拝する御予定があるのか、される場合どのような理由でされるのか、されない場合は、真榊奉納などでして、どのように対応されるのかお尋ねします。
【岩屋外務大臣】現時点において、参拝する予定はございません。
訪日中国人の増加
【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】中国人観光客によるオーバーツーリズム、観光公害の問題について質問します。訪日中国人の人間ドックへの需要が高まる中、中国人向けの人間ドック専門クリニックも開設されているようですが、「多額の税金が投入されている日本の医師や医療機関が、日本人ではなく、外国人の健康に特化するサービスを提供することは、事実上、海外への公金流出ではないか」といった指摘もなされています。また、日本の「梅毒」の報告件数は、2023年に1万4,906人と、最多記録を更新して以降、増加傾向が続いていますが、世界的にも感染者が多いとされる中国から、中国人向けの風俗ツアーなどを介して流入した可能性が指摘されています。岩屋大臣は、訪日中国人観光客が、日本にもたらすネガティブな影響について、どの程度把握され、それをどのように評価されているのでしょうか。御教授ください。
【岩屋外務大臣】いわゆるオーバーツーリズムの問題だと思いますが、この問題については、令和5年に観光庁で取りまとめられました「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」というものがございます。様々なメニューが盛り込まれておりますけれども、これに基づいて、日本政府として、各地域における取組に対する支援を行っているところでございます。
個別の事例や影響などにつきましては、各分野を所管されている関係省庁にお尋ねいただきたいと思います。もちろん外務省としても、関心をもって注視していきたいと思っているところでございます。
北方領土問題(ロシアによる射撃訓練)
【朝日新聞 加藤記者】話題変わります。ロシアが、北方領土周辺海域で軍事演習を行うと通告し、日本政府が抗議をしたとのことですけれども、一連の事実関係と外務省の対応について伺います。
【岩屋外務大臣】4月17日に、ロシアの水路当局が、日本時間4月17日午後4時から4月22日午後11時までの間、国後島、色丹島及び歯舞諸島付近の、我が国領海を含む水域において、射撃訓練を実施する旨の航行警報を出したと承知しています。
これを受けまして、4月17日、外交ルートを通じて、本件射撃訓練を含む北方四島におけるロシアによる軍備の強化は、北方四島に関する我が国の立場に反するものであって、受け入れられない旨、抗議を行っております。