- バングラデシュのコックスバザール県では、95万人を超えるミャンマーからの避難民が、過密化した大規模な避難民キャンプに滞在しています。元々自然災害に脆弱な環境にある中で、避難民キャンプは、森林の伐採により建設されたため環境劣化が進み、雨季には鉄砲水や地滑り等が頻発し、乾季には火災が多発するなど災害被害が深刻になっています。避難民は、年間を通して災害等による簡易住居(シェルター)の損壊や焼失の危険性に晒されています。このような状況は、避難民を受け入れ、生活圏を共有する地元住民にも同様の影響を与えており、避難地全体の住環境に向けた取組が求められています。また、バシャンチャール島に移住した約3万人の避難民は、基礎的な生活を送る生計手段を得るに至っておらず、生活上の危機に直面しています。
- この協力は、コックスバザール県に居住するミャンマーからの避難民、及び地元ホストコミュニティとバシャンチャール島の避難民に対し、避難用地の整地や通路の整備、耐火改修等の簡易住居の改修・整備、避難民に対する保健サービスの向上や、農業等の生計維持手段の支援等の包括的な支援を行うものです。この協力により、避難民と地元ホストコミュニティの生活改善が図られ、もってバングラデシュ社会脆弱性の克服に寄与することが期待されます。
12月11日(現地時間同日)、バングラデシュ人民共和国の首都ダッカにおいて、岩間公典駐バングラデシュ人民共和国日本国特命全権大使と、ランス・ボノー国際移住機関(IOM)在バングラデシュ事務所代表(Mr. Lance BONNEAU, Charge of Mission, the IOM (International Organization for Migration) in Bangladesh)との間で、供与額5億円の無償資金協力「コックスバザール県及びバシャンチャール島におけるミャンマーからの避難民及びホストコミュニティのための生活改善計画(IOM連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました。
バングラデシュ人民共和国は、面積約14.7万平方キロメートル(日本の約4割)、人口1億7,295万人(2023年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)2,860米ドル(2023年、世界銀行)。