自動運転システムは、安全な交通社会の実現に資するものとして、国際的に実用化が進められています。今般、自動運転システムの基本要件や、車線変更等を自動で実施するための要件や試験法を定めた2件の国際規格(ISO 23792-1:2026、ISO 23792-2:2026)が日本主導で開発されました。本規格により、自動運転システムの要件が共通化され、一定の安全性能を備えた自動車の普及が進み、自動車による交通事故の減少や交通流の円滑化につながることが期待されます。
1.背景
高速道路などの自動車専用道路における交通事故の主な発生要因は、脇見運転や漫然運転などのヒューマンエラーであり、高速道路における事故の半数は車両時速50キロ以下の渋滞時に発生しています
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。こうした状況を踏まえ、安全な交通社会を実現する観点から、日本は世界に先駆ける形で、レベル3自動運転システム(渋滞時の自動車専用道路において、人間のドライバーに代わり、全ての動的運転タスクを実行するシステム)を開発し、市場に導入しました。
しかし、自動運転システムは、仕様や使用方法がメーカー毎に異なり、基本的な機能要件を検証するための試験法が統一されていないこと等が原因となって、市場導入が十分に進みにくい状態に陥っていました。
そこで今般、自動運転システムの市場を国際的にも拡大させることを目的として、日本が主導する形で、「自動運転システムと人間のドライバー間の運転交代を前提とした自動車専用道路での自動運転システム(Motorway Chaffer System(MCS))」に関する国際規格(ISO 23792-1:2026
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及びISO 23792-2:2026
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)を開発しました。
2.規格の概要
自動運転システムを用いることにより、人間のドライバーが常に運転を交代できる状況を維持することを前提としながら、システムが全ての運転操作を一定の条件下で実行する環境が実現されます。つまり、自動運転システムが適切に作動している環境下では、自動運転システムに運転を任せることで、人間のドライバーは、ハンドルから手を離すことや道路から視線を外すこと等が可能となります。
1)ISO 23792-1:2026
自動運転システムは、複数の異なる運転シナリオに対応する必要があります(図1参照。「MCSの走行範囲」が運転シナリオの例。)が、本規格はシナリオへの対応手法に依らない共通的なシステム特性の表現方法や、システム状態の定義及び遷移条件等、システムの要件を定めています。また、基本機能である単一車線内自動走行の要件とこれを検証するための試験法について定めています(図2参照)。
図1:MCSが動作可能な地理的運行設計領域の一例
図2:MCSの試験シナリオ
2)ISO 23792-2:2026
車線変更には、進行方向の状況変化への対応と隣接車線の後方確認が同時に求められることから、単一車線走行と比較して、実行には高度な技術が必要となります。本規格は、ドライバー又は自動運転システムによる車線変更の提案に対し、車線変更を自動で行うための要件とその検証に係る試験法を定めています。例えば、車線変更を行う際、変更先の車線の前後に必要な空間を検知するための方法や、車線変更を自動で行う際の車両制御についての条件、車両制御が継続できない場合の対応方法等を規定しています(図3参照)。
今般開発した2件の国際規格(ISO 23792-1:2026及びISO 23792-2:2026)は、日本が国際議長を務めるISO(国際標準化機構)/TC 204(ITS 高度道路交通システム)/WG 14(走行制御)に、日本から提案し、ISO 23792-1:2026は2026年3月27日、ISO 23792-2:2026は2026年3月19日に国際規格として発行されました ※4 。
図3 : 自動車線変更の機能及び動作イメージ
3.期待される効果
本規格の発行により、自動運転システムの仕様や機能等が共通化されることで、一定の安全性能を有した自動車の普及を後押しし、交通事故の減少や交通流の円滑化につながることが期待されます。
※2 正式名称: ISO 23792-1:2026 Intelligent transport systems -- Motorway Chauffeur Systems (MCS) -- Part 1: Framework and general requirements
※3 正式名称: ISO 23792-2:2026 Intelligent transport systems -- Motorway Chauffeur Systems (MCS) -- Part 2: Requirements and test procedures for discretionary lane change
※4 今回発行された国際規格は、経済産業省の委託事業である「エネルギー需給構造高度化基準認証推進事業費(省エネルギー等国際標準開発(国際標準分野))」の成果の一部によるものです。
関連リンク
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