冒頭、石破総理大臣から、カンボジアは、ASEANで最初に「自由で開かれたインド太平洋」への支持を表明した我が国にとって重要なパートナーであり、近年、日本とカンボジアの協力は、二国間にとどまらず、ウクライナを始めとする第三国の地雷対策など、国際社会の平和と安定のための協力に広がっている旨述べました。その上で、不透明感を増す国際情勢において、法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現及び多角的自由貿易体制の維持・強化に向けて、カンボジアとの連携を一層強化していきたい旨発言しました。
これに対し、フン・マネット首相は、石破総理大臣及び日本側の今次訪問におけるおもてなしへの謝意を述べるとともに、両国の協力関係は拡大を続けており、包括的戦略的パートナーシップの下、両国及び両国民の相互利益並びに地域・国際社会の平和と安定のため、石破総理大臣との協力を深めたい旨述べました。
5月30日、午後6時10分から約60分間、石破茂内閣総理大臣は、実務訪問賓客として訪日中のフン・マネット・カンボジア王国首相(Samdech Moha Borvor Thipadei HUN Manet, Prime Minister of the Kingdom of Cambodia)と日・カンボジア首脳会談を行い、引き続いて共同記者発表及びワーキング・ディナーを約95分行ったところ、概要は以下のとおりです。 両首脳はこの機会に、日・カンボジア共同声明及び「経済共創パッケージ」を発出しました。
1 冒頭発言
2 二国間関係
- 安全保障
両首脳は、先般の海上自衛隊艦艇によるリアム海軍基地寄港を歓迎・評価し、海洋分野やOSA供与を含め、安全保障分野での協力を更に強化していくことで一致しました。 - 経済・投資
両首脳は、世界経済が不透明性を増す中、多角的自由貿易体制の維持・強化に取り組むとともに、カンボジアの経済パートナーの多角化にも協力していくことについて議論しました。フン・マネット首相は、カンボジアの和平・復興・発展におけるこれまでの日本政府及び国民による支援への謝意を表明し、今後のカンボジアの経済発展のために、引き続き日本からの支援、投資に期待したい旨述べました。
両首脳は、日本企業による対カンボジア投資を促進するため、「経済共創パッケージ」を通じた日本からの投資の誘致・支援に向けた体制強化やOECDを通じた支援などによる投資環境整備に向けて、両国が協力していくことで一致しました。
また、両首脳は、シハヌークビル港の開発、デジタル分野、サイバーセキュリティ対策、5Gを含む基幹通信網整備の他、AZECを通じたクリーンエネルギーの分野でも協力していくことを確認しました。 - 民主主義
両首脳はカンボジアの民主的発展について議論しました。 - 特殊詐欺
両首脳は、特殊詐欺を含む越境犯罪への対応において、警察当局間の協力を強化していくことで一致しました。
3 地域・国際情勢
- 石破総理大臣から、両国がウクライナ等の地雷対策で連携していることを評価している旨、また今秋に日本で開催予定のウクライナ地雷対策会議についても述べ、両首脳は地雷対策においても協力を強化することで一致しました。
- 両首脳は、不透明性を増す世界経済や多角的自由貿易体制についてを含め、経済分野について幅広く議論しました。
- 両首脳は、核・ミサイル問題及び拉致問題を含む北朝鮮への対応、東シナ・南シナ海、ミャンマーなどの地域・国際情勢において、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。