プレスリリース
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経済産業省
環境省
農林水産省
8月5日(火曜日)から15日(金曜日)まで、スイス・ジュネーブにおいて、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第5回政府間交渉委員会再開会合(INC5.2)が開催されたところ、会合の概要は以下のとおりです。
日本からは、中田宏環境副大臣が関連会合に出席した他、外務省(中村亮地球規模課題審議官他)、経済産業省(福本拓也GXグループ審議官他)、環境省(小野洋参与、小川眞佐子特別国際交渉官他)、農林水産省(西浦博之輸出・国際局審議官他)から構成される政府代表団が出席しました。184か国の国連加盟国、関係国際機関、NGO等約3,700人が参加しました。
会合概要
1. 今回の再開会合では、昨年末の第5回政府間交渉委員会(INC5.1)で作成された議長テキストを元に、4つの作業部会に分かれて前文から最終規定に至るまで条約全体の案文について、交渉が行われました。この過程において、
(1)目的(第1条)、製品設計(第5条)、放出・流出(第6条)、廃棄物管理(第7条)、既存のプラスチック汚染(第8条)、公正な移行(第9条)、履行・遵守(第12条)、国別行動計画(第13条)等については、具体的な文言交渉を通じて条文案の最終化に向けた議論が進展しました。
(2)他方で、生産、プラスチック製品(第4条)、資金(第10条)、締約国会議(第18条)等については、各国間の意見の懸隔が大きく、意見の収斂に至りませんでした。
(3)最終規定の一部(脱退(第29条)、寄託者(第30条)、正文(第31条))については作業部会で意見が一致し、法的な確認作業が行われました。
2. 8月13日(水曜日)には、それまでの議論を踏まえて改めて議長から条文案(一次案)が提示され、更に交渉が行われましたが、意見の一致には至りませんでした。
8月15日(金曜日)未明には、議長から条文案(二次案)が提出され、協議が行われましたが、実質合意には至りませんでした。このため、今後、再開会合を開催し、交渉を継続することとなりました。
3. 日本からは、今回の会合において、
(1) プラスチックのライフサイクル全体での取組の促進、
(2) プラスチック製品に関する共通基準の明確化、
(3) 環境に配慮した製品設計、
(4) 適正な廃棄物管理に係る各国の義務、
(5) 国別行動計画の作成・更新、報告及びレビュー、
(6) 全ての資金源からの資金動員及び効率的な資金の活用
等の重要性について指摘しつつ、積極的に条約交渉に関与しました。
また、会合期間中、環境省の小野洋環境省参与が、アジア太平洋地域の代表理事(副議長)として定期的に地域会合を主催したほか、同省の小林豪プラスチック汚染国際交渉チーム長が作業部会の1つにおいて共同議長を務めました。さらに、条約の主要義務規定について非公式な協議を主導するなど、議論の促進に向けて精力的に取り組みました。
参考1:プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の概要
2022年3月の第5回国連環境総会再開セッションにおいて、「プラスチック汚染を終わらせる:法的拘束力のある国際約束に向けて」が採択され、INCを設置することを決定しました。INCは、2022年11月から2024年末までに5回開催され、国際文書(条約)の策定に係る作業の完了を目指すこととしていました。INC5までに、2022年11月にウルグアイでINC1が、2023年5月にフランスでINC2が、同年11月にケニアでINC3が、2024年4月にカナダでINC4が、同年11月末から12月初旬にかけて韓国でINC5がそれぞれ開催されました。