【岩屋外務大臣】まず、冒頭、私(岩屋大臣)から、いくつか報告がございます。
私(岩屋大臣)は、来る13日月曜日から、韓国のソウル、フィリピンのマニラ、パラオのマルキョクを訪問いたします。
韓国におきましては、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官との会談などを通しまして、現下の戦略環境の下、北朝鮮への対応を含め、引き続き、日韓・日米韓が、緊密な連携を確保していくこと。また、両国国民や両国関係の将来を見据えて、国交正常化60周年関連事業を双方で進めていくということを、確認をしたいと思っております。
フィリピンにおきましては、マナロ外相との会談などを通じまして、安全保障・経済分野での二国間協力や、地域・国際情勢の対処に向けた連携の強化に向けまして、日米比、フィリピン、三か国協力の維持強化に向けた協力を確認していきたいと考えております。
パラオにおきましては、ウィップス大統領の2期目の就任式に出席するとともに、同大統領への表敬などを通じまして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に、重要なパートナーでありますパラオとの「トクベツ」な関係、この「トクベツ」という言葉は、もうパラオの現地語として定着しているそうですけれども、この「トクベツ」な関係を強化してきたいと思います。
また、同じく就任式参加が見込まれる太平洋島嶼国の要人とも会談をいたしまして、昨年の7月に実施した、第10回太平洋・島サミットのフォローアップを行ってまいります。
冒頭発言
(1)岩屋外務大臣の韓国・フィリピン・パラオ訪問
(2)国連安保理非常任理事国任期の総括
【岩屋外務大臣】それから、我が国は、2023年と2024年の2年間、安保理で理事国を務めました。理事国を務めるのは、今回で、国連加盟国中最多の12回目でございました。先刻、任期を総括する談話を発出したところでございます。
本年は、国連創設80周年に当たります。我が国は、分断や対立が深刻化する国際社会を協調に導くべく、理事国の任期終了後も、引き続いて、国連を中核とした多国間外交を推進し、国際の平和及び安全の実現と維持に、積極的に貢献してまいります。
(3)外務省幹部人事
【岩屋外務大臣】それから、3番目の御報告は人事についてでございます。
本日の閣議で、外務省の幹部人事が承認されました。このあと、資料を配布いたしますが、1月17日付で発令する予定でございます。
岡野正敬(おかの・まさたか)次官は退官いたしますが、令和5年8月から約1年半、国際情勢が激しく揺れ動く中、事務当局のトップとして、政策面はもちろん、マネジメント面においても、冷静かつ力強いリーダーシップを発揮してもらったことに、感謝したいと思います。20日付で、国家安全保障局長に就任すると承知しております。また、内閣官房副長官補を兼ねて、国家安全保障局次長も含む、これまでの外交安全保障分野における幅広い業務経験を生かして、一層活躍してくれるものと期待しております。
そして、岡野次官の後任には、船越健裕(ふなこし・たけひろ)政務担当外務審議官に就任してもらいます。鯰博行(なまず・ひろゆき)アジア大洋州局長がその後任となります。そして、アジア大洋州局長には、金井正彰(かない・まさあき)国際法局長を当てます。
これを受けまして、国際法局長には中村和彦(なかむら・かずひこ)地球規模課題審議官を就任させ、中村亮(なかむら・りょう)南部アジア部長がその後任となります。南部アジア部長には、宮本新吾(みやもと・しんご)大臣官房参事官をあてます。
この新たな体制の下に、引き続き、一丸となって、幅広い外交課題に全力で取り組んでいきたいと考えております。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
岩屋外務大臣の韓国訪問
【読売新聞 植村記者】まず、大臣の韓国外遊について伺います。今、韓国で、内政が混乱している状況で、あえてこの時期に韓国に行く意義や意味、どのように大臣は考えていますでしょうか。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】韓国は、国際社会の様々な課題に、ともに取り組んでいく、協力していく、重要な隣国でございます。
韓国の内政の動向については、引き続き、重大な関心を持って注視していきたいと思っておりますが、現下の戦略環境の下で、日韓関係の重要性は変わらないと考えております。
したがって、今回の訪問では、趙兌烈外交部長官との会談などを通じて、北朝鮮への対応なども含めまして、引き続き、日韓、そして日米韓が緊密な連携を確保していくことをしっかり確認していきたいと思いますし、冒頭に申し上げたとおり、国交正常化60周年の節目の年でございますので、これらの記念事業を、予定どおり進めていくことを確認していきたいと思っております。
先般、米国のブリンケン国務長官も韓国を訪れて、この米韓関係、あるいは日米韓の関係の重要性、そして、これをしっかり維持していくことを確認してこられたと承知しておりますし、また、そのお話も日米外相会談で、私(岩屋大臣)も承りました。
私(岩屋大臣)も、今回の訪韓を通じて、同じような考え方に基づいて、しっかりと成果を上げていきたいと考えております。
米国次期政権の貿易政策
【共同通信 阪口記者】米国のトランプ次期大統領について伺います。トランプ氏が、全世界からの輸入品への一律の関税を実現するために、緊急事態を宣言する可能性があると、一部米メディアが報じています。今後、米国が保護主義的な貿易政策を強めるとも考えられますけれども、日本としてどのように対策を働きかけていく考えか、お尋ねします。加えて、円安ドル高が更に加速するとの観測もあります。日本経済の影響をどのように捉えていらっしゃるかお尋ねします。
【岩屋外務大臣】今、御指摘があった報道については承知しております。おりますが、次期米国の政権発足後の政策、及びその影響について、この段階で、政府として、予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思っております。
いずれにしても、世界経済に大きな影響力を持つ米国の動向は、我が国のみならず、国際社会全体にとっても極めて重要な影響を及ぼすことになると思っておりますので、引き続き、高い関心をもって、この動向を注視していきたいと考えております。
政府としては、日米経済関係の更なる深化・発展を図っていくと、この基本的な考え方の下に、次期トランプ政権とも、緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。
岩屋外務大臣のフィリピン訪問
【読売新聞 植村記者】フィリピンの外遊についても伺います。日本とフィリピンは、南シナ海で中国と摩擦というか、対立の状況にあると思うんですけど、南シナ海だったり、海洋の安定のために、日本とフィリピンがどのような連携していく必要があるか、そのあたりを伺います。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】南シナ海情勢は、地域の平和と安定に直結する国際社会の関心事項でございます。我が国としては、フィリピンが一貫して仲裁裁判所の判断に従って、南シナ海における紛争の平和的解決にコミットメントを示しているということを高く評価しております。
したがって、今回のフィリピン訪問におきましては、マナロ外相との会談などを通じまして、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて、安全保障、そして経済分野での日・フィリピン関係を更に強化する。
そして、日米フィリピン、この3か国の協力のモメンタムをしっかり維持すると、こういったことを確認していきたいと考えているところでございます。
岩屋外務大臣の韓国訪問
【共同通信 阪口記者】外遊について一点ちょっとお尋ねしたいと思います。テーマというよりも、韓国についてなんですけれども、岩屋さん、韓国との付き合いが、議員生活を含め、かなり深いというふうに仄聞しておりますけれども、今回、外相として初めて韓国を訪問するということになったことに対して、何か思いみたいなものがありましたら、ちょっと伺えるとありがたいと思います。お願いします。
【岩屋外務大臣】議員活動を通じては、それほど、今まで日韓関係に関わってきたわけではなかったのですけれども、防衛大臣時代に、当時は、日韓関係かなり冷え込んでおりましたけれども、様々な安全保障協力だけは、しっかり前に進めようという努力をさせていただいてきたところでございます。
それから、趙兌烈外交部長とは、各国の外相の中でも一番数多く会って、また電話会談もさせてきていただいておりますので、直接お国にお邪魔して、現地の状況もまた聞かせていただき、先ほど申し上げた、日韓・日米韓の連携を、しっかり外相間で確認しておきたいと思っておりまして、さらに、60周年の記念事業も、こういう状況の中ではありますが、それは粛々と進めていって、日韓両国の友好親善というものが、しっかりとキープされていくように、努力していきたいと思っているところでございます。
岩屋外務大臣のパラオ訪問
【読売新聞 植村記者】パラオに関しても、1点伺いたいんですけど、太平洋島嶼国の中におけるパラオの地理的な重要性というのを、大臣はどのように捉えていますでしょうか。あともう一点、再任される大統領は、ALPS処理水の関係で、いち早く日本の賛意を示してくれるなどしましたが、そういった日本に対する外交姿勢について、どのように受け止め、評価をしていますでしょうか。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】パラオは、今おっしゃったように、我が国にとっては、地理的・戦略的に重要な国だと思っております。
また、我が国とは価値や原則を共有しておりまして、FOIP、「自由で開かれたインド太平洋」実現の観点からも、非常に重要なパートナーだと思っております。
これも、今、触れていただいたように、2期目を迎えるウィップス大統領は、2023年に福島第一原子力発電所を視察され、ALPS処理水の海洋放出に関する日本の取組に対して、いち早く信頼を表明していただきました。また、2021年の就任以来、5回訪日しておられまして、我が国としては、同大統領の日本重視の姿勢を、高く評価し歓迎をしているところでございます。
こういったパラオの重要性を踏まえて、今般の訪問を通じて、両国の特別な、先ほど申し上げた「トクベツ」な関係を、更に強化していきたいと思っております。
国連安保理非常任理事国任期の総括
【読売新聞 植村記者】最後1問お願いします。冒頭発言のあった国連安保理の非常任理事国の2年間の任期について、振り返りを伺います。この2年間、ロシアによるウクライナ侵略への対応など、非常に難しい状況も続いたかと思いますが、非常任理事国であった場合と、非常任理事国でなかった場合で、日本にとって得られる利益だったり、あと、経験、各国の人脈など、どういった違いがあったかというのを考えていますでしょうか。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】やはり、安保理の理事国を務めるということで、国際の平和及び安全の維持に関する様々な問題に対して、重要な意思決定に関与できるということがあると思います。そこにおいて、我が国の主張を適切に反映させやすくなるとこういう面があると思います。更に言えば、そういった問題についての情報の入手が、より容易になるという利点が、あると思います。
安保理の場で、各国が行う立場表明は、国際世論や理事国以外の各国の立場にも影響を与えていく、及ぼすことができるということもあると思います。
御指摘のとおり、任期中、いろいろな問題が起こりました。ウクライナ、中東、北朝鮮情勢といった、こういった国際社会の課題に、我が国としても積極的に取り組み、様々な場で日本の立場をしっかり発信できたことは、大変意義があったと思っております。
任期終了後も、引き続き、分断や対立が続く国際社会を、協調と融和に導いていくために、積極的に貢献していきたいと考えております。