グローブアンドメールへの石破総理大臣寄稿 「日カナダ関係をいかにして更に強化し得るか」

6.16 (月) 15:40
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令和7年6月16日

 G7サミット出席のため、アルバータ州カナナスキスを訪問するに当たり、本年のG7 議長国であるカナダのリーダーシップに改めて敬意を表します。
 今、私たちは 100 年に1度とも言える歴史の大きな転換点に直面しています。この 100 年を振り返ると、甚大な被害を出した世界大戦とその後の国際秩序の再構築に加え、世界大恐慌、世界で 5000 万人から1億人がその命を落としたと言われるスペイン風邪の流行など、様々な危機に直面してきました。その度に国際社会は知恵を出し合い、共に行動することで、危機を乗り切ってきました。
 G7 各国は常にこのような国際的な取組の先頭に立ち、世界をより良い方向へ導くために力を合わせてきました。G7 発足から今年で50年を迎えます。この50年の間にも、湾岸戦争、アジア通貨危機、リーマンショック、ウクライナ侵略、COVID-19 の大流行等様々な危機に直面してきました。その都度、我々G7は、結束して対応してきました。

 この歴史の大転換期に、創設半世紀を迎えたG7 としてどのように対応していくか。
 今回のG7 は、極めて重要なターニングポイントとなるでしょう。国際社会を分断ではなく協調に導くためには、力ではなく、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化が鍵となります。G7 を始めとする同志国、さらには途上国・新興国のパートナーとの連携を深め、国際社会をあらゆるリスクに対してより強靱なものにすることが必要です。この美しいカナナスキスで、G7 各国首脳や、招待国・機関の首脳と共に率直に議論を交わし、より良い世界、より良い未来のための解決策を共に紡ぎだしていく機会となればと思っています。

 この観点から、ロシアによるウクライナ侵略を終わらせ、早期の全面停戦、ひいては一日も早く公正かつ永続的な平和を実現することが重要です。日本は、G7 と連携して、ウクライナ支援及び対露制裁を継続していきます。また、北朝鮮兵士のウクライナに対する戦闘参加などにみられるように、欧州とインド太平洋の安全保障は益々一体不可分となっています。日本は、引き続き、「自由で開かれたインド太平洋」を推進し、国際社会の平和と安定に貢献していく決意です。

 さらに、世界経済の不確実性が増す中、G7 が経済活動を下支えし、世界経済を牽引していかなければなりません。WTO や CPTPP を含むルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・強化が不可欠です。世界で保護主義・内向きの傾向が強まる中で、WTO が世界経済の成長に不可欠な基盤を提供し、我々もその恩恵を受けてきたことを踏まえ、日本は、多角的自由貿易体制の維持・強化に向けてリーダーシップを発揮していく所存です。
 加えて、AIや量子など新興技術に関する協力の推進、重要鉱物のサプライチェーン強靱化を含む経済安全保障、カナダや米国を始め全世界で猛威を振るう山火事への対応、地域のコミュニティの安全を脅かす組織的な犯罪や外国からの干渉・抑圧への対処や国際的な認知喚起など、G7 が結束して取り組むべき課題は山積しています。議長国カナダのリーダーシップの下、これらの課題にしっかりと対処すべく、日本として積極的に貢献していく決意です。

 日本とカナダは、価値や原則を共有する重要なパートナーであり、国際課題に対し、カーニー政権の重要政策とも合致する協力を、二国間でも推進しています。特に、太平洋をはさんだ隣国として、自由で開かれたインド太平洋地域実現のために、 2022 年に発表した「日加アクション・プラン」を二国間協力の羅針盤として、戦略的パートーシップを更に強化しています。

 特に、安全保障協力の分野では、本年、情報保護協定の実質合意に至りました。引き続き、安全保障の多角化を掲げるカナダとの協力を更なる高みに引き上げるべく連携していきたいと考えております。

 また、日加は、経済分野を中心に、お互いが必要とする技術・知見を用いた協力を展開しています。「エネルギー超大国」を掲げるカナダにおいて、日本企業も参画する LNG カナダが、日本、そしてインド太平洋地域へカナダ産 LNG の供給をまもなく開始する予定です。先月には、オンタリオ州で、日本企業が関与する小型モジュール原子炉(SMR)の初号機の建設許可が下り、2030年末までの運転開始を目指しています。

 本年 4 月から「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマの下開催されている大 阪・関西万博では、「再生(Regeneration)」をコンセプトとするカナダのパビリオンに連日多くの訪問者が訪れております。万博を契機として両国の様々なレベルでの人的交流や経済的な交流がより一層強固なものになることを期待しています。訪日したカナダの皆様には、大阪に加えて、日本の美しい地方にも足を運んでいただきたいです。

  日加は、古い友人です。2028 年に日本とカナダは外交関係樹立 100 周年を迎えます。極めて良好な日加関係が、今後、様々なレベルで益々発展していくことを切に願っています。


令和7年6月16日

 G7サミット出席のため、アルバータ州カナナスキスを訪問するに当たり、本年のG7 議長国であるカナダのリーダーシップに改めて敬意を表します。
 今、私たちは 100 年に1度とも言える歴史の大きな転換点に直面しています。この 100 年を振り返ると、甚大な被害を出した世界大戦とその後の国際秩序の再構築に加え、世界大恐慌、世界で 5000 万人から1億人がその命を落としたと言われるスペイン風邪の流行など、様々な危機に直面してきました。その度に国際社会は知恵を出し合い、共に行動することで、危機を乗り切ってきました。
 G7 各国は常にこのような国際的な取組の先頭に立ち、世界をより良い方向へ導くために力を合わせてきました。G7 発足から今年で50年を迎えます。この50年の間にも、湾岸戦争、アジア通貨危機、リーマンショック、ウクライナ侵略、COVID-19 の大流行等様々な危機に直面してきました。その都度、我々G7は、結束して対応してきました。

 この歴史の大転換期に、創設半世紀を迎えたG7 としてどのように対応していくか。
 今回のG7 は、極めて重要なターニングポイントとなるでしょう。国際社会を分断ではなく協調に導くためには、力ではなく、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化が鍵となります。G7 を始めとする同志国、さらには途上国・新興国のパートナーとの連携を深め、国際社会をあらゆるリスクに対してより強靱なものにすることが必要です。この美しいカナナスキスで、G7 各国首脳や、招待国・機関の首脳と共に率直に議論を交わし、より良い世界、より良い未来のための解決策を共に紡ぎだしていく機会となればと思っています。

 この観点から、ロシアによるウクライナ侵略を終わらせ、早期の全面停戦、ひいては一日も早く公正かつ永続的な平和を実現することが重要です。日本は、G7 と連携して、ウクライナ支援及び対露制裁を継続していきます。また、北朝鮮兵士のウクライナに対する戦闘参加などにみられるように、欧州とインド太平洋の安全保障は益々一体不可分となっています。日本は、引き続き、「自由で開かれたインド太平洋」を推進し、国際社会の平和と安定に貢献していく決意です。

 さらに、世界経済の不確実性が増す中、G7 が経済活動を下支えし、世界経済を牽引していかなければなりません。WTO や CPTPP を含むルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・強化が不可欠です。世界で保護主義・内向きの傾向が強まる中で、WTO が世界経済の成長に不可欠な基盤を提供し、我々もその恩恵を受けてきたことを踏まえ、日本は、多角的自由貿易体制の維持・強化に向けてリーダーシップを発揮していく所存です。
 加えて、AIや量子など新興技術に関する協力の推進、重要鉱物のサプライチェーン強靱化を含む経済安全保障、カナダや米国を始め全世界で猛威を振るう山火事への対応、地域のコミュニティの安全を脅かす組織的な犯罪や外国からの干渉・抑圧への対処や国際的な認知喚起など、G7 が結束して取り組むべき課題は山積しています。議長国カナダのリーダーシップの下、これらの課題にしっかりと対処すべく、日本として積極的に貢献していく決意です。

 日本とカナダは、価値や原則を共有する重要なパートナーであり、国際課題に対し、カーニー政権の重要政策とも合致する協力を、二国間でも推進しています。特に、太平洋をはさんだ隣国として、自由で開かれたインド太平洋地域実現のために、 2022 年に発表した「日加アクション・プラン」を二国間協力の羅針盤として、戦略的パートーシップを更に強化しています。

 特に、安全保障協力の分野では、本年、情報保護協定の実質合意に至りました。引き続き、安全保障の多角化を掲げるカナダとの協力を更なる高みに引き上げるべく連携していきたいと考えております。

 また、日加は、経済分野を中心に、お互いが必要とする技術・知見を用いた協力を展開しています。「エネルギー超大国」を掲げるカナダにおいて、日本企業も参画する LNG カナダが、日本、そしてインド太平洋地域へカナダ産 LNG の供給をまもなく開始する予定です。先月には、オンタリオ州で、日本企業が関与する小型モジュール原子炉(SMR)の初号機の建設許可が下り、2030年末までの運転開始を目指しています。

 本年 4 月から「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマの下開催されている大 阪・関西万博では、「再生(Regeneration)」をコンセプトとするカナダのパビリオンに連日多くの訪問者が訪れております。万博を契機として両国の様々なレベルでの人的交流や経済的な交流がより一層強固なものになることを期待しています。訪日したカナダの皆様には、大阪に加えて、日本の美しい地方にも足を運んでいただきたいです。

  日加は、古い友人です。2028 年に日本とカナダは外交関係樹立 100 周年を迎えます。極めて良好な日加関係が、今後、様々なレベルで益々発展していくことを切に願っています。


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