【読売新聞 上村記者】イスラエル情勢に関してお伺いします。何点かあるのですが、まず、21日に、ヨルダン川西岸地区を視察していた日本を含む外交団に対する発砲事案からです。まず、この事案の所感と、大臣、委員会でも、イスラエルから調査結果を共有する旨の説明を受けているとおっしゃっていましたけれども、その後、イスラエル側から、何かこの事実関係に関して説明があったかどうかお聞かせください。
また、ガザ情勢に関して、英国は、イスラエルとの貿易交渉の停止や、ヨルダン側西岸地域の入植者に対する制裁強化を決めました。日本政府として、イスラエルに関して、何か今検討している措置などあれば、これも併せてお伺いします。
【岩屋外務大臣】まず、事実関係ですけれども、5月21日、我が国を含む外交団が、ヨルダン川西岸地区の北部にありますジェニン難民キャンプを視察していた際に、イスラエル軍が警告射撃を行ったと承知しています。
我が国を含めて、負傷者はいないと承知しており、また、引き続き、現地にて詳細な事実関係を調査中ではありますが、このような事案の発生は誠に遺憾であり、あってはならないことだと思います。
事案発生後直ちに、中東アフリカ局長から駐日イスラエル大使に対して抗議をしたほか、在イスラエル大使館臨時代理大使からイスラエル外務省アジア太平洋局次長などに対して抗議を行いました。
また、昨22日、船越外務次官が、コーヘン駐日イスラエル大使を召致の上、厳重に抗議し、十分な説明と再発防止を強く求めたところでございます。
イスラエル側からは、申入れを十分認識するとして、このような事案が発生したことに対する遺憾の意の表明があるとともに、現在事実関係を調査中であり、調査結果はしかるべく共有するという説明がありました。
現段階では、まだ説明を受けてはおりません。
引き続き、イスラエル側に対して、十分な説明と再発防止を強く求めていきたいと思います。
また、この機会に、現地時間の21日に、ワシントンD.C.で、イスラエル大使館の職員2名が殺害されたことについて一言触れたいと思います。
亡くなられた2名の方々に、心からお悔やみを申し上げたいと思います。日本政府としては、世界のいかなる場所においても、テロリズムは許されない、許容されないとの立場を改めて強調したいと思います。
それから、ガザの再占領や軍事作戦の拡大によって、既に深刻なガザの人道状況が、更に悪化しています。こういう行為は「二国家解決」の実現に逆行する動きでありまして、断固反対いたします。イスラエルが、これらの問題につき、適切に行動することを強く求めたいと思います。
先般、5月13日に行った日・イスラエル外相会談においては、私(岩屋大臣)からサアル外相に対して、停戦交渉に立ち戻って、合意の継続に向けて、誠実に取り組むよう求めるとともに、民間人の保護と人道支援の確保といった、国際人道法を含む国際法の遵守を直接強く申し入れたところです。
それから、ヨルダン川西岸における一部の過激派入植者による暴力も、これも許されるものではありません。これを強く非難いたします。昨年7月、パレスチナ人への暴力的行為に関与した入植者4名に対する資産凍結などの制裁措置を決定したところです。
引き続き、G7を含む国際社会とも連携しながら、イスラエル政府に対して、入植活動の完全凍結を求めてまいりたいと思います。
以上です。