冒頭発言
日・バーレーン外相戦略対話
【岩屋外務大臣】本日、私(岩屋大臣)は、訪日中のザヤーニ・バーレーン王国外務大臣との間で、初めて日・バーレーン外相戦略対話を開催いたしました。
日本とバーレーンとの間では、エネルギー分野を超えた政治・安全保障、環境、情報通信技術、宇宙、文化を含む幅広い分野での二国間協力が進展しております。今回の戦略対話では、こうした両国の関係を一層強化していくことを確認いたしました。
また、ガザ情勢、及びイラン核問題を含む中東情勢、そして、インド太平洋情勢についても意見交換を行いまして、引き続き、これらの課題について、緊密に連携していくことで一致いたしました。
また、これまでも申し上げてきたように、国内の政治状況によって、外交の停滞を招くようなことがあってはなりません。引き続き、安定的で継続的な外交、安全保障政策、そして「対話と協調の外交」を進めていくために、最後まで全力を尽くしてまいります。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
日・バーレーン外相戦略対話
【共同通信 鮎川記者】冒頭御紹介があった日・バーレーン外相戦略対話で、特に、ガザ情勢とイラン核問題について、岩屋さんの方から、どういった認識やお考えを伝えられたのか、御紹介ください。
【岩屋外務大臣】それぞれ、当然のことながら、話題に上りました。
まず、ガザ情勢についてですけれども、本日の戦略対話においては、ガザの人道状況の更なる悪化への懸念や、「二国家解決」を一貫して支持する我が国の立場を伝えた上で、バーレーンと、引き続き、緊密に連携していくことで一致をいたしました。
現在のガザの惨状は、これは看過できない状況にある認識しておりますし、「二国家解決」の土台を突き崩すような行為は認められないというのが、我が国の考え方です。そのことを伝えた上で、やり取りを行いました。また、詳細については、外交上のやり取りですので、控えさせていただきたいと思います。
また、同様にイランの核問題についても議論を行いました。このイランの核問題につきましては、あくまでも対話を通じた解決の重要性を強調しつつ、我が国として、イランに対し、米国との協議の早期の再開、そして、IAEAとの完全な協力の再開を働きかけていることをお伝えいたしました。バーレーンにおいても、様々な外交努力を行っているという御紹介がございました。
本件についても、詳細は控えさせていただきたいと思いますが、引き続き、必要な外交努力を行っていくとともに、このバーレーンとも、しっかり連携していきたいと考えております。
自由民主党総裁選の外交への影響
【日経新聞 馬場記者】総裁選と外交の関係についてお伺いします。冒頭でも少し御発言いただきましたけれども、自民党は、フルスペックの総裁選を10月4日をめどに開催するよう調整を進めています。総理は、その後の首班指名を経て選出されますが、衆参で少数与党の状況では、必ずしも自民党の総裁が総理になるとは限りません。次期総理が誰になるか分からないという政治空白が続くことが、外交にどのような影響を与えるとお考えになるか、お伺いします。
【岩屋外務大臣】内外の問題・課題が山積している中ですから、政治に停滞が許されないことはもちろんのこと、外交・安全保障に影響が生じることがあってはならないと考えております。
我が国は、今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しておりますので、積極的な外交を展開することで、国際社会を対話と協調に導いていく必要があります。その意味で、一刻も早く、新しい体制が確立され、安定的に外交を展開していってもらわなければならないと考えております。
私どもとしては、引き続き、この任のある限り、同盟国・同志国と緊密に連携しつつ、我が国の平和及び地域の安定、そして自由で開かれたインド太平洋の実現、そして、揺らぎつつある国際秩序の再構築に向けて、全力を、最後の1秒まで尽くしてまいりたいと決意しております。
日韓関係
【読売新聞 植村記者】韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が、11日で就任から100日を迎えます。この間の、李在明大統領の対日の外交姿勢について、政府としてどのように評価していますでしょうか。また、先日、石破首相が辞任表明をされましたが、新首相の下で、日韓関係が後戻りせず、良好な関係が続くかどうかが注目されます。こうした中で、円滑に両国の外交関係を引き継いでいけるように、どのように今後取り組んでいきたいと考えておられますでしょうか。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】石破政権発足以降も、その前の岸田政権のトレンドを引き継いで、日韓関係の改善に努めてまいりましたので、今、日韓関係は極めて良好な状態の中、状況の中にあると認識しております。6月には韓国の新政権が発足しましたが、7月に趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官が訪日、そして先月には、李在明大統領が、就任後初の二国間訪問先として日本を訪問をされました。非常に円満な、また実りある首脳会談だったと、私(岩屋大臣)も同席していて感じました。
このような日韓両政府間で、緊密な意思疎通が行われ、良好な基調が維持されていることは、評価したい、評価すべきだと、望ましい、好ましいことだと考えております。
また、昨日は、韓国において、中谷防衛大臣、また、アン・ギュベク国防部長官による、防衛相会談も開催された承知しております。
先般の日韓の首脳会談の際には、1965年の国交正常化以来、これまで築かれてきた日韓関係の基盤に基づいて、日韓関係を未来志向で、安定的に、大きく発展させていくということで、一致を見ております。
現下の戦略環境の下で、日韓関係、そして、日米韓協力の重要性は一層増しておりますので、この先般の首脳会談の成果の上に、両国関係が更に前進していくように、しっかりと政府間で意思疎通を行ってまいりたいと考えております。
国連総会出席
【時事通信 千葉記者】国連総会のハイレベル・ウィークに関してお伺いします。昨日、朝のレジのぶら下がりで、総理と一緒に御参加予定とお話されていたと思うんですけれども、改めて参加の調整状況と、参加の意義について教えてください。また、22日には、パレスチナ関連の会合が予定されていると思います。これに関しても、ここで例えば、総理が出席されて、日本のパレスチナの国家承認に関する姿勢について御説明されるのか、併せてお願いいたします。
【岩屋外務大臣】国連総会というのは、極めて重要な外交機会ですので、これはしっかり対応する必要があると考えております。
国連総会ハイレベル・ウィークには、多くの首脳、また、外務大臣らの対面での議論を通じて、国際社会や地域の喫緊の課題について、緊密な意思疎通や連携強化を行う重要な機会ですから、やはりこの機会を逸するべきではないと考えております。
私(岩屋大臣)も、決まっていることではなくて、諸般の事情が許せば、国連総会に出席する方向で調整を行っておりますし、石破総理においても、諸般の事情が許せば、ニューヨークを訪問する方向で調整していると御理解をいただければと思います。
パレスチナ情勢(ハマスの武装解除)
【パン・オリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
中東についてお伺いします。日本は、ハマスの武装解除を求めていますが、この要求の背景には何があるのでしょうか。また、ハマスの武装解除はどのように行われるべきだとお考えですか。イスラエルは、レバノン、シリア、ヨルダン川西岸を一方的に爆撃し、何千人ものパレスチナの子供や赤ん坊を殺害しています。イスラエルも武装解除すべきだとお考えですか。
【岩屋外務大臣】まず、始めに現地時間の8日に、エルサレムで発生した民間人に対するテロ攻撃を強く非難いたします。日本政府として、世界のいかなる場所においても、テロリズムは許容されないという立場を改めて強調したいと思います。
我が国は、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家は、平和かつ安全に共存をしなければならないと、この「二国家解決」を一貫して支持しております。これに一切の変わりはございません。
我が国も参加した本年7月の「パレスチナ問題の平和的解決及び二国家解決の実現のためのハイレベル国際会議」におきましては、フランスとサウジアラビアが主導する形で、「ニューヨーク宣言」というものが出されました。
その中で、まずは、停戦を達成して、速やかに人道支援を実施し、将来のパレスチナ国家を実現するために、ハマスがガザでの支配を終わらせ、武装解除することを求めています、この宣言においてはですね。そして、我が国は、この宣言に参加しております。これが我が国の立場、考え方です。
我が国としては、このハマスとイスラエルを含む全ての当事者が一刻も早い停戦と人質解放の実現に向けて誠実に取り組むことを改めて強く求めてまいります。
その上で、我が国としては、引き続き、「二国家解決」の実現に向けて関係国、国際機関とも連携しながら、積極的に貢献していく考えであります。
米国における邦人拘束事案
【テレビ朝日 飯田記者】米国のジョージア州の韓国企業の工場で、不法滞在の疑いなどで、400人以上が拘束された中に、日本人3人が含まれていたことが、取材により分かりました。外務省として把握している事実関係と、日本政府として米側に何か申入れをするかなどを対応について考えをお聞かせください。
【岩屋外務大臣】御指摘の事案ですけれども、米国の移民当局が米国現地時間9月5日にジョージア州の現代自動車に対して強制捜査を行って、470名以上を拘束し、その中に邦人3名が含まれていることを確認しております。これ以上の詳細については、プライバシー保護の観点からお答えすることは差し控えたいと思います。
本件について、外務省としては、在アトランタ日本国総領事館による領事面会を含めて、情報収集及び状況を把握に努めております。邦人保護の観点から、引き続き、この事案に適切に対応してまいります。
日本の安全保障と日米豪印
【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】米国及び日本の外交方針について質問します。トランプ政権によるインドへの外交圧力に対して、明らかに反発したモディ首相は、中露に急接近し、中露もこれを歓迎し、中露印の間で華々しい外交が繰り広げられ、米国の圧力は裏目に出る結果となりました。米印関係は悪化し、中国包囲網のQUADなど既になくなったに等しいものと思われます。日本を含め、同盟国や友好国に圧力をかけるトランプ外交は稚拙です。米国は、自らの覇権を自らが破壊しているという批判の声もあり、ハーバード大学のジェフリー・サックス教授のような著名な有識者も、トランプ政権の外交姿勢を厳しく批判しています。
日本の安全保障は、米国一極依存のままでいいのか、また、QUADは、もうなくなってしまったものと考えていいのか、以上2点、岩屋大臣のお考えをお聞かせください。
【岩屋外務大臣】QUADについては、御承知のように日米豪印、つまりQUAD外相会合が、本年1月、それから7月に、米国主催で開催をされました。同盟国・同志国間の連携の重要性やFOIP、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けたコミットメントを再確認しております。この基本的な考え方に、インドであれ、米国であれ、私(岩屋大臣)は、変わりはないものと考えております。
日米同盟は、引き続き、我が国の外交・安全保障の基軸でありまして、インド太平洋の平和と安定のキー・ストーン、要石であると思っております。唯一の同盟国である米国とは、同盟の抑止力・対処力の一層の強化に向けて、今、緊密に連携しているところでして、本年2月の日米首脳会談でも、この点を確認しております。
米印の関税交渉について、我々がコメントする立場にありませんけれども、そういう関税政策対応といいますか、経済面での米印関係等、また幅広い意味の安全保障という面での協力関係には、おのずから少し差異があるのではないかなと考えておりますので、QUADが無きに等しいものになったのではないかという御指摘は、私(岩屋大臣)は、当たらないと考えておりますし、また、本年後半にインドが主催する首脳会合、及び2026年に豪州が主催する外相会合に向けて、連携を強化することで日、米豪印では一致をいたしております。
また、私(岩屋大臣)も同席をさせていただきましたが、先般の日印首脳会談におきましても、モディ首相の方から、日米豪印を含め、幅広い分野で日本と協力を深めていきたいという御発言がございましたので、そういうインド側のお考えにも変わりはないのではないかと考えているところです。
「佐渡島の金山」の追悼式典
【読売新聞 植村記者】今週土曜日13日に、新潟県佐渡市で、佐渡金山の関連する追悼式が行われる予定で、韓国政府は今回参加しない意向を表明しています。韓国政府側の不参加は2年連続となっていますが、この件をめぐる互いの立場の隔たりに対して、日本政府として、どのように対処していきたいと考えておりますでしょうか。
【岩屋外務大臣】先ほども申し上げたとおり、日韓関係全体は、非常に良好なトレンドの中にあると思います。したがって、政府としては、この御指摘の「佐渡山(さど)の金山」の追悼式の問題につきましても、主催者である地元と連携をしながら、韓国政府側とも丁寧に、緊密に意思疎通を行ってきております。
したがって、何か対決・対立をしたということではなくて、丁寧に緊密に、意思疎通を行ってきた結果、そういう形になっていることです。そのように御理解をいただきたいと思います。
日韓関係を安定的に進めるためには、双方の間で更にしっかりと、丁寧に意思疎通が行われていくことが必要だと考えておりまして、そういう基本的な考え方にのっとって、韓国側とは、今後とも緊密に丁寧に意思疎通を行っていきたいと考えております。
戦後80年のメッセージ
【朝日新聞 笹山記者】戦後80年の見解についてお伺いします。今朝、官房長官会見でも出て、まだ出すことに決まってない、出すか出さないか決まってないってことだったのですけれども、総理が、今、辞意を表明された立場で、戦後80年の見解を仮に出されるとなった場合に、これは大臣の立場として、どのように評価されるか教えてください。
【岩屋外務大臣】まず、基本的な立場は、石破内閣は、これまでの内閣総理大臣談話も含めて、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいるというものでして、これは、当然今後も引き継いでいくということです。戦後80年のメッセージの在り方については、現時点では決まっておりませんが、総理が、記者会見や国会で、これまで答えられているように、今までの談話の積み重ねを踏まえながら、適切に判断されるものと考えております。
その際、言うまでもないことですが、戦争の記憶を風化させない、2度と戦争を起こさせないといった観点が大事だと考えているところです。戦後80年の節目に、日本国内閣総理大臣が、内外に一定のメッセージを示すことは、私(岩屋大臣)は、大切なことではないかと考えているところです。
国連総会(パレスチナ関連会合への出席)、米国における邦人拘束事案
【共同通信 鮎川記者】追加で2点ほどお伺いします。先ほど時事通信さんの質問にあった、国連総会への総理と大臣の出席に関連してなんですが、パレスチナの会合について、総理が御出席されて、日本としての見解を出すという考えがあるのかという、先ほどの質問のお答えをいただければというのが1点と、2点目ですみません、ジョージア州の日本人3名の方の拘束なんですが、領事面会は、もう既に実施されたということでいいのかということと、韓国政府は、その300人ぐらいの方の釈放と帰国に向けて政府間の調整を進めているという報道があるんですが、日本政府の対応は、どうなりますでしょうか。
【岩屋外務大臣】まず、国連のパレスチナ関連の会合については、目下、調整中です。総理と私(岩屋大臣)の日程の調整の中で、対応ぶりをしっかりと考えていきたいと思っておりまして、今決まっているわけではございません。重要な会合ですので、日本政府としてのコミットメントは不可欠だと考えているところです。
それから、先ほどのジョージア州の件ですが、事態が進行中ですので、詳細はちょっと控えさせていただきたいと思いますが、当然、我が方としてとるべき対応は、しっかり行っておりますし、邦人保護の観点から、その帰国についても、様々、今やり取りしているところです。