3月7日(金曜日)、第1回日英経済版2+2閣僚会合が開催され、日本側からは武藤経済産業大臣及び岩屋外務大臣が、英国側からはレイノルズ・ビジネス貿易大臣(The Rt Hon Jonathan Reynolds MP, Secretary for Business and Trade)及びラミー外務大臣(The Rt Hon David Lammy MP, Secretary of State for Foreign Commonwealth and Development Affairs)が出席しました。
国際経済秩序が今、大きなチャレンジを受けているという認識の下、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する日本と英国の四閣僚は、自由で公正なルールに基づく国際経済秩序の維持・強化を通じ、こうした基本的価値を守るべく共に行動していくというコミットメントを共有し、(1)経済安全保障、(2)自由で開かれた国際貿易、(3)エネルギー安全保障、(4)グローバル・サウスについて議論を行いました。
(1)経済安全保障
四閣僚は、グローバルな貿易の課題を踏まえ、国際的に経済的強靱性を強化していくことは世界の持続的かつ安定的な成長のための重要な要因であることに一致しました。
また四閣僚は、経済的強靱性を高めるためにはパートナーや同志国間の連携が不可欠であることを確認しました。四閣僚は、また、日英の関係がますます重要になっていることを確認し、分析や見識の共有、サプライチェーンの強靱化や重要・新興技術の課題に係る協力を含め、経済的強靱性・経済安全保障に関する協力を強化していく共同の野心を表明しました。
四閣僚は、経済安全保障におけるパートナーシップを高めていくため、サプライチェーンの強靱化、公正な市場の発展、その他の関連する問題を含め、日本と英国が直面する経済安全保障に関する課題への対処を目的とした議論を進めるための会合を行うよう、事務方に指示しました。
四閣僚は、これが日英戦略経済貿易政策対話で議論された産業戦略パートナーシップを支援するものとなるとして一致しました。
四閣僚は、経済的威圧及び有害な産業補助金、国有企業の市場歪曲的な慣行、強制的な技術移転を含む非市場的な政策及び慣行、並びに非市場的な政策及び慣行の結果生じる有害な過剰生産とその他の市場歪曲的な措置について懸念を表明しました。
四閣僚は、ネット・ゼロ移行及びデジタル化に不可欠な重要鉱物を含め、強靱で信頼性のあるサプライチェーンを構築するために、同志国と連携する重要性を再確認しました。
これに関し、四閣僚は、経済的要因のみならず、透明性、多様性、安全性、持続可能性、信頼性からなる、強靱で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則に関連する要因も考慮した基準を探求することで一致しました。
さらに、四閣僚は戦略的な官民協力、経済安全保障に関する情報交換及び両国が共有する価値の重要性を認識し、重要・新興技術を更に促進・保護するために、それぞれの政策連携の強化のための議論の継続で一致しました。また、四閣僚は、輸出管理と研究セキュリティに関する協力を深め、両国間の管理貨物と管理技術の取引を更に促進することで一致しました。
四閣僚は、次世代量子コンピューティングの開発における日英のサプライチェーンと協力を促進するため、日英の産業パートナー間の覚書署名を歓迎しました。
四閣僚は、急速な技術開発に歩調を合わせる方法で、軍事目的に使用され得る物質、技術及び研究に対する効果的な輸出管理を更に強化することに一致しました。
四閣僚は、ウクライナの将来的にわたる主権及び安全を確保する公正で永続的な平和の実現という希望を表明しました。四閣僚は、ウクライナのニーズに沿って、強さを通じた平和の追求に関し、ウクライナへの継続的な支援を再確認しました。四閣僚は、ロシアが違法なウクライナ侵略戦争の資金を調達し実行するために使用する収入、物資及び技術を可能な限り制限するための我々の包括的な制裁及び経済的措置を継続する決意を表明しました。
このため、四閣僚は、重要技術、専門技術及び新興技術の流用を防ぐため、技術的な議論を通じて、ロシア及びロシアの軍事複合体を支援する国々に対する行動を継続することに一致しました。四閣僚は、中国がロシア及びロシアの国防産業基盤への支援を増加させており、それがウクライナでの違法な戦争をロシアが維持することを決定的に可能にしていることへの懸念を改めて表明しました。(2)自由で開かれた国際貿易
四閣僚は、ビジネスに法的安定性と予見可能性をもたらす、WTOを中核としたルールに基づく多角的貿易体制の重要性を再確認するとともに、WTOが設立から30周年を迎えた今、来年3月に予定されている第14回WTO閣僚会議(MC14)での成果も見据え、交渉機能、監視機能、審議機能、紛争解決機能を含むWTOの全ての機能の強化を進めていくことで一致しました。
四閣僚は、WTOにおける複数国間(プルリ)の協議と交渉が、関心課題の前進において果たしている役割を認識し、開発のための投資円滑化協定及び電子商取引協定をWTOの法的枠組みに早期に組み込むように求めました。
また、四閣僚は、非市場的な政策及び慣行や気候変動といった現代的な貿易関連の課題への対応も含め、WTOでの議論において緊密に連携していくことを確認しました。
四閣僚は、グローバルに公平な競争条件を確保するために、強力な国際ルールと規範を策定し、既存のツールを効果的に活用することの重要性を強調しました。
加えて日本側閣僚は、昨年12月の英国のCPTPP加入を歓迎するとともに、四閣僚は、CPTPPがインド太平洋地域におけるルールに基づく自由で公正な経済秩序を推進していく上での重要な柱であることを認識しました。
四閣僚は、CPTPPが現代的で、高水準の協定であり続けるよう、他の締約国と緊密に協力し続けていくことを確認しました。(3)エネルギー安全保障
四閣僚は、エネルギー安全保障上のリスクと、クリーン・エネルギー・サプライチェーンの更なる発展を支援するための日英協力の機会について議論しました。
閣僚らは、政府・団体・企業間の洋上風力発電分野、先進的なロボット技術と自律システム分野での協力覚書や、先進原子力技術やフュージョンエネルギー、廃炉に関するものも含む両国企業及び研究機関の協力による民生原子力協力を歓迎しました。
四閣僚は、両国国民のエネルギー安全保障の実現に向けて、日本と英国のエネルギー協力を今後も促進していくことを再確認しました。
さらに、 四閣僚は 、クリーン・エネルギー分野での協力を認識し、日本と英国の間で第三国におけるクリーン・エネルギー移行の加速化、及びその実現のための協力の強化を目的とした日英共同プロジェクトの創出の重要性を強調しました。
四閣僚はまた、気温上昇を1.5℃に抑えることを射程に入れ続け、2050年までにネット・ゼロを達成するという共通のコミットメントを再確認しました。
四閣僚は、信頼できない敵意のある勢力からのエネルギー供給への依存を減らす必要性を確認しました。
四閣僚全員は、ロシアによる違法で、不当で、いわれのない全面的なウクライナ侵攻は、不可分一体である欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障を脅かすものであることに一致しました。(4)グローバル・サウス
四閣僚は、ルールに基づく国際経済秩序の維持・強化のためには、グローバル・サウス諸国との協力の一層の強化が重要であるとの認識を共有し、経済発展と貧困削減を支える持続可能な開発、及び貿易メカニズムに向けてグローバル・サウス諸国に関与していくことを確認しました。
四閣僚は、カメルーンで開催されるWTO第14回閣僚会議が、これを支援する上で重要であることを指摘しました。
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担当
通商政策局 欧州課長 藤田
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