- 我が国は、2023年初めから2024年末までの2年間、国連加盟国中最多となる12回目の安全保障理事会(安保理)非常任理事国を務めました。この間、我が国は戦後最も厳しい安全保障環境の中に置かれ、また既存の国際秩序は挑戦にさらされてきました。こうした中、我が国は、法の支配、平和構築及び核軍縮・不拡散を優先事項として掲げ、国際の平和及び安全の実現と維持に最大限貢献してきました。
- 我が国は、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射などを受けて、米国、韓国を始めとする関係国と緊密に連携し、安保理決議違反の挑発行動に断固たる姿勢を示すため、安保理での議論を主導しました。また、2017年以来開催されていなかった「北朝鮮の状況」に関する安保理公開会合が我が国を始めとする関係国の要請により2023年8月及び2024年6月に開催され、拉致問題の即時解決を含む人権状況の改善に向けた国際的な議論が喚起されました。
- 長期化するロシアのウクライナ侵略への対応に当たっては、安保理や総会の会合を通じ、これを強く非難し、ロシア軍の即時撤退を求めるとともに、国連憲章に基づくウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現を強く訴えました。また、北朝鮮によるロシアへの兵士の派遣及び戦闘への参加や、ロシアによる北朝鮮からの武器・弾薬の調達及び使用といった露朝軍事協力の進展を強く非難してきました。
- 2023年10月のハマス等によるテロ攻撃を発端とし、壊滅的な人道状況にあるガザ情勢については、2023年10月以降、安保理がその責務を果たすため、停戦や人質の解放等を求める4本の決議採択に貢献しました。特に、安保理議長を務めた2024年3月には、安保理が当事者に対して「停戦」を求める決議を、議長国及び共同起草国として理事国内の調整に精力的に取り組み、採択することができました。
- 我が国は、女性・平和・安全保障(WPS)、児童と武力紛争、人道問題、食料安全保障、気候変動、AI、宇宙など、テーマ別の重要課題についても、議論に貢献しました。特に、任期中二度の安保理議長月の機会を捉え、2023年1月には法の支配に関する閣僚級公開討論を、2024年3月には核軍縮・不拡散に関する閣僚級会合を主催するとともに、平和構築に関する公開討論も二度開催しました。
- また、我が国は、2年間にわたりアフガニスタン情勢に関する文書の起草国として安保理決議案等の交渉を主導したほか、ミャンマー、中東、アフリカ、中南米諸国の諸情勢など、国際社会の複雑な課題に積極的に取り組んできました。加えて、安保理下部機関のリビア制裁委員会及びアル・シャバーブ制裁委員会について我が国が議長を務め、適切な下部機関の運営に努めました。
- 安保理の透明性・効率性を高めることは、国連の機能強化に繋がります。我が国は、2024年に安保理下部機関の文書手続作業部会議長を務め、安保理の議事規則等に関する包括的かつ体系的な議長ノートをとりまとめました。2006年以来、安保理に在籍する度に運営改善・機能強化に関し我が国が取ってきたリーダーシップは、広く国連加盟国間で高く評価されています。
- 本年は、国連創設80周年に当たります。我が国は、分断や対立が深刻化する国際社会を協調に導くべく、理事国任期終了後も、引き続き、国連を中核とした多国間外交を推進し、国際の平和及び安全の実現と維持に積極的に貢献していきます。
- 同時に、国際の平和及び安全の維持に主要な責任を負う安保理を、今日の世界を反映したものにする必要があります。我が国は、常任・非常任理事国双方の拡大を含む安保理改革の早期実現と我が国の常任理事国入りを目指しており、安保理改革の実現に向けて、多くの国々と連携しつつ粘り強く取り組んでいきます。
令和7年1月10日