【岩屋外務大臣】私(岩屋大臣)は、本日8月5日に広島を訪問いたしまして、6日の広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式に参列する予定であります。また、9日には、長崎を訪問いたしまして、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に参列する予定です。
「核兵器のない世界」の実現に向けて、努力を積み重ねていくとの決意を胸に、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊(みたま)に対して、謹んで哀悼の誠をささげてまいりたいと考えております。
冒頭、私(岩屋大臣)からは、以上です。
冒頭発言
岩屋大臣の広島、長崎訪問
ウクライナへの防衛装備移転
【読売新聞 植村記者】昨日のカチカ・ウクライナ副首相との会談についてお伺いします。会談の冒頭で、先方から、日・ウクライナ首脳会談での防衛分野の機材などの装備移転のやり取りを紹介する発言などが出ましたが、この点などについて、昨日の一連のウクライナ側との会談で、どういったやり取りがありましたでしょうか。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】昨日の会談における先方の御発言や、具体的な中身について、私(岩屋大臣)から説明することは差し控えたいと思っております。
その上で、我が国の防衛装備の海外移転については、言うまでもなく、防衛装備移転三原則に基づいて、厳格かつ慎重な対処をこれまでも行ってきております。そして、ウクライナに対しては、我が国として、ロシアによる侵略を受けている同国を支えるべく、この三原則の範囲内で、供与可能な装備品を支援してきております。例えば、高機動車でありますとか、防具でありますとか。
今後、この分野を含めて、ウクライナとの間で、いかなる防衛装備協力が可能であるかということについては、不断に検討してまいりたいと思っておりまして、この段階で何か具体的な案件があるということではありません。
日米関税協議
【日経新聞 馬場記者】関税交渉についてお伺いします。本日から赤澤大臣が訪米されます。石破総理も予算委員会で、御自身の訪米について、政府部内で検討すると言明されています。自動車関税の引下げの実行に向けて、日本政府として、どのような外交努力が必要だとお考えになるか、改めてお伺いします。また、引下げに伴う日本側の投資などについて、ベッセント財務長官は、四半期ごとに精査すると述べられていますけれども、日本政府としては、どのようなレベル、どのような場で、その履行状況を示す御予定かお伺いします。
【岩屋外務大臣】今般の合意では、自動車並びに自動車部品については、本年4月以降に課された25%の追加関税率を半減して、既存の税率を含めて15%とするということで合意したところです。
自動車産業は、550万人の雇用を抱えている我が国の製造業の柱であり、中小企業を含む広範なサプライチェーンによって成り立っている我が国の基幹産業でもあります。したがって、政府としては、引き続き、様々な機会を捉えて、米側に対して、この自動車・自動車部品関税の引下げを含めて、今般の合意を実施するための措置を速やかに取るように求めてまいります。
御指摘の、ベッセント財務長官の発言については承知しておりますが、それに逐一コメントすることは差し控えたいと思います。これまでの交渉では、合意の実施の管理の仕方については、特段議論はしてきていないものと認識しております。
いずれにしても、今般の合意の内容を、日米双方が誠実に着実に履行して、相互利益の促進につながる成果を早期に上げていくということが極めて重要でありまして、総理の指示に基づいて、米国の関税措置に関する総合対策タスクフォースの下で、米側の間税率の引下げを求めることを含めて、日米間の合意の履行状況の進捗を、しっかり管理していきたいと考えております。
「核兵器のない世界」に向けた取組
【共同通信 阪口記者】冒頭、御発言ありました広島の原爆の式典についてお話を伺いします。明日で広島は、被爆から80年を迎えますけれども、日本が最初の戦争被爆国になってから80年が経過したということでもあると思います。核兵器なき世界の実現にはまだ至っていませんけれども、核抑止に頼る日本ではありますけれども、改めて実現に向けてどのように取り組むのかお尋ねします。
【岩屋外務大臣】現在の厳しい安全保障環境において、「核兵器のない世界」に向けた道のりは、一層厳しいものになっていると思います。しかし、だからこそ、我が国は唯一の戦争被爆国として、国際社会の取組を全力で主導していかなければならないと決意しております。
昨日、私(岩屋大臣)は、その一環として招聘をいたしましたフロイド包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の準備委員会暫定技術事務局長や、それから、ヴィエット2026年NPT運用検討会議長候補と、それぞれ面会をいたしました。そこで「核兵器のない世界」の実現に向けて率直に意見交換を行いました。また、連携を強化することを確認をしたところです。
今後とも、NPT体制、核保有国と非保有国がともに参加している体制の下で、現実的かつ実践的なアプローチで「核兵器のない世界」の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています。
豪州次期汎用フリゲートの共同開発・生産
【NHK 河村記者】日本が、最新鋭の護衛艦の海外移転に向けて共同開発を提案しているオーストラリアの新型フリゲート艦の導入計画について、オーストラリア政府は、日本の提案を最優先の候補に選定したと発表しました。大臣の受け止めをお願いします。
【岩屋外務大臣】今、御指摘があったように、本日、オーストラリア政府は我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である「令和6年度型護衛艦」を次期汎用フリゲートとして選定した旨、発表をしたと承知しています。
今回の選定結果は、「特別な戦略的パートナー」であるオーストラリアとの安全保障協力を、より高みに引き上げる極めて大きな一歩になると思っていますし、日豪関係全般にも、大きくプラスの影響を与える出来事だと認識しています。心から歓迎をしたいと思います。
最終的な契約の締結を含めて、本件の着実な進展に向けて、外務省としても、引き続き、防衛省を初めとする関係省庁や関連企業と緊密に連携していきたいと考えています。
中国における反日感情
【読売新聞 植村記者】中国情勢に関して伺います。中国では、「南京事件」を題材とした映画が公開されるなどする中、外務省も反日感情の高まりに注意を呼びかけています。先日、蘇州では、日本人親子が襲撃される事件が起きましたが、戦後80年たった現在も、反日感情への警戒が必要な状況を、大臣はどう捉え、どう考え、そして今後、日中外交にどのように取り組んでいこうと考えていますでしょうか。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】まず、今般の蘇州での事件については、事件に遭われた方に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。政府としては、引き続き、容疑者の厳正な処罰、類似事件の再発の防止、邦人の安全確保を強く、既に申し入れておりますが、引き続き、申し入れてまいります。その上で、今後も中国当局と連携の上で、在留邦人の安全確保に全力を尽くしていきたいと考えています。
また、本年は戦後80年です。この戦後80年をどう捉えるかというのは、やはりそれぞれの国において、立場や考え方がどうしても異なってくる、これは避けられないことだと思います。御指摘の映画の公表を含めて、中国の国内でも、いろいろな関連の動きがありますが、その一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思います。
しかし、その上で申し上げれば、我が国は決して戦争の惨禍を繰り返さないという決意の下に、自由で、民主的で、人権や法の支配を尊ぶ平和国家としての歩みを戦後80年間、一貫して続けてまいりました。また、これからも、これを継続してまいります。言うまでもないことです。
日本と中国との間では、「戦略的互恵関係」を包括的に推進して、「建設的で安定的な関係」を築いていこうという方向性を確認しているわけですから、この考え方の下に、国際社会が直面する様々な課題について、共に協力し合える関係を構築してまいりたいと考えているところです。