田村まみ参議院政策審議会長(参議院議員/全国比例)は29日、参議院本会議で議題となった健康保険法等改正案に対して賛成討論を行った。全文は以下のとおり。
健康保険法等の一部を改正する法律案 本会議討論原稿
国民民主党の田村まみです。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました「健康保険法等の一部を改正する法律案」に対し、賛成の立場から討論を行います。
賛成の理由について
1点目は、本法律案は、少子高齢化が進行する中において、現役世代の保険料負担の上昇を抑制しながら、医療保険における給付と負担を見直し、持続可能な医療保険制度の実現を目指すために各種改正を行うものであり、その趣旨に沿って不断の改革を行うことについて賛成です。
一方で法改正の前提となる、社会保障費・医療保険の給付と負担について、参考人質疑では、城守参考人から「医療費が増加する要因として、主に高齢化の進展と、技術の進歩というところが大きかったが、失われた何十年間のデフレ下において高齢化の伸びの範囲内に医療費を抑えるという政策が取られたので、基本的には医療技術の評価がされてこなかったという結果だった」という指摘がありました。
骨太方針には、高齢化による社会保障費の自然増に対しキャップをはめる縮小均衡型の記載が続いてきましたが、2025年ようやく賃上げ・物価上昇を鑑み「必要な増」を反映する書きぶりとなり、2026年度診療報酬改定では1996年以来30年ぶりのプラス3%改定となりました。
しかし、経年の不足分は反映されておらず、イラン情勢も加味されない状況が続いています。このままでは、医療機関の赤字は解消されず、医療資材・医薬品・医療機器の値上げも受け入れられず、地域医療提供体制は崩れ医療周辺産業の持続可能性も絶たれます。
今後、社会保障関連の法制度の見直しにおいて、公平性を軸に『産業の成長』『需要の拡大』『医療技術・医薬品の革新』など、社会保障費全体の予算増を抜きに見直しを進めれば『負担は高いほうに合わせ、給付は低いほうに合わせる』ことを前提とした議論にならざるを得ません。
社会保障費の在り方とこれを支える財政について、患者・国民の命を守り、医療・医薬品・介護等産業振興への後押し、そして地域の雇用を生み地方創生に資するよう方針を示していくべきです。
2点目は、妊娠・出産に伴う経済的負担の軽減と、国民健康保険の負担軽減がなされるからです。
国民民主党の掲げる少子化対策は、子を産み育てられると思える給与の確保と、徹底的な 子ども・子育て支援を充実した結果、生まれる子どもの数が増えることです。
今回の改正では、出産にかかる費用について出産育児一時金が支給されても61%が持ち出しをしている状況等に対し、保険給付として分娩費を創設し、標準的な費用に係る給付体系の見直しによって負担軽減を図る措置が講じられます。また妊婦検診において、多胎妊娠への対応などの課題は残りますが、不妊治療中の方、不育症で流産・死産をされた方を含め、都道府県における周産期医療に関する協議会と連携をしながら心身のケアを含めて切れ目のない体制構築とサービス・費用の見える化が図られます。
また、国民健康保険制度において、子どもにかかる均等割保険料の軽減が未就学児から高校生年代まで拡充し子育て世代の負担軽減がなされます。
3点目は、OTC類似薬に係る一部保険外療養の創設についてです。
国民民主党は、OTC医薬品の活用を通じたセルフメディケーションの推進による保険適応範囲の見直しと医療費の適正化を掲げています。一部保険外療養の創設によりOTC医薬品の利用を推進することで達成すべき最大の目的は、セルフメディケーションを推進することによって、国民の健康増進を図ることであると考えます。国民一人一人が、自身が受ける医療の内容とその費用について考えることで、より健康で豊かな生活を送れるようにすることが第一であり、その結果として、全体の医療費が削減されるというのがあるべき姿です。
また、一部保険外療養の制度が十分に機能するためには、医療現場にいる医師の方々が制度の趣旨を理解し、患者にOTC医薬品の活用を促すことが極めて重要となります。このため、本法律案附則の検討規定で勘案するとされている「医師や薬剤師の理解を深めるための取組」を進めることが求められます。あわせて、登録販売者の方の理解促進、より一層の質の向上を図っていくことも重要です。
これが進まなければ、今回の改正は、財源を確保するために国民一人一人の医療費給を削減するだけのものだという批判は免れません。
政府には、セルフケア・セルフメディケーション推進の体制整備や報酬体系、税制活用といった環境が整うことで、保険範囲の検討に取り組んでいただきたいと考えます。
このように、医療保険制度をはじめ、給付と負担の見直しに資する内容となっています。
しかし、令和7年度予算案で修正される事態を踏まえ、今回の改正で健康保険法115条高額療養費制度の支給要件・額について『とりわけ長期にわたって継続的に療養を受ける者の家計』と、より生活全体への影響を考慮する条文追加となっているにもかかわらず、現在示されている令和8年・9年の高額療養費制度の見直しについて、この条文の趣旨が不十分反映されている物とは言えません。
今般の制度見直し以前から指摘されてきた問題として、70歳未満の場合は複数の医療機関を受診したときなどに自己負担額が21,000円以上でないと合算ができないことや、多数回該当の仕組みにおいて保険者が変更になった場合にカウントが引き継がれずリセットされる、新設される年間上限が当面は償還払いとなる問題があります。
自己負担限度額の引上げ等を議論するならば従前問題と指摘のあった内容、新設制度の運用の整備を施行までに整えるなど、財源やシステム改修の課題を乗り越えこれらの問題の解消に向けた具体的な取組を早急かつ計画的に進めることを求めます。
また、高額療養費制度の見直しに係る議論においては、現行制度の枠組みを維持した上での自己負担額の在り方が主な論点となりましたが、かつての入院主体の医療から外来中心に変化し、昨今の医療の高度化に伴い、仕事との両立がしやすい治療といった受診・治療形態が変化している中では、現行制度にとらわれず、制度全般の在り方について議論すべきではないでしょうか。
さらに、高額な医療費が必要となった方や、病気や治療の影響によって収入が減少し生活困窮に陥った方、治療と就労の両立が困難な状況にある方などを支えるために、社会保障に求められることは、高額療養費制度だけにとどまりません。既存の各種支援策が確実に患者の方に届くよう、相談窓口の連携強化やアクセスの確保に取り組む必要があります。総理は質疑で、保険者のみならず地方自治体などと連携し機能強化を図ると答弁されました。社会保障全体の中で、高額療養費制度も含めてどのような支援体制が必要か、総合的な視点から改めて検討していかなくてはならないと考えます。
また協会けんぽへの国庫補助についてです。
本法律案では、令和8年度から令和10年度までの3年間、協会けんぽへの国庫補助に対する特例減額の控除額に、年500億円、合計で1,500億円を上乗せすることとしています。政府は、その理由として、近年の協会けんぽの財政収支が順調なことや、特例減額開始前であった平成23年度から平成26年度の4年分の額を反映するのだと説明しますが、これは実質的に過去に遡及して国庫補助を減らすことにほかなりません。
それだけでなく、現在の協会けんぽの財政収支は黒字ですが、2030年代には単年度収支が赤字になるとの見通しも示されています。政府においては、今後、新たな国庫補助減額や補助率の引下げなどを行うことがないよう、中長期的視点に立った対応を求めます。
以上申し上げまして私の賛成討論といたします。
(3120字)
田村まみ参議院政策審議会長(参議院議員/全国比例)は29日、参議院本会議で議題となった健康保険法等改正案に対して賛成討論を行った。全文は以下のとおり。
健康保険法等の一部を改正する法律案 本会議討論原稿
国民民主党の田村まみです。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました「健康保険法等の一部を改正する法律案」に対し、賛成の立場から討論を行います。
賛成の理由について
1点目は、本法律案は、少子高齢化が進行する中において、現役世代の保険料負担の上昇を抑制しながら、医療保険における給付と負担を見直し、持続可能な医療保険制度の実現を目指すために各種改正を行うものであり、その趣旨に沿って不断の改革を行うことについて賛成です。
一方で法改正の前提となる、社会保障費・医療保険の給付と負担について、参考人質疑では、城守参考人から「医療費が増加する要因として、主に高齢化の進展と、技術の進歩というところが大きかったが、失われた何十年間のデフレ下において高齢化の伸びの範囲内に医療費を抑えるという政策が取られたので、基本的には医療技術の評価がされてこなかったという結果だった」という指摘がありました。
骨太方針には、高齢化による社会保障費の自然増に対しキャップをはめる縮小均衡型の記載が続いてきましたが、2025年ようやく賃上げ・物価上昇を鑑み「必要な増」を反映する書きぶりとなり、2026年度診療報酬改定では1996年以来30年ぶりのプラス3%改定となりました。
しかし、経年の不足分は反映されておらず、イラン情勢も加味されない状況が続いています。このままでは、医療機関の赤字は解消されず、医療資材・医薬品・医療機器の値上げも受け入れられず、地域医療提供体制は崩れ医療周辺産業の持続可能性も絶たれます。
今後、社会保障関連の法制度の見直しにおいて、公平性を軸に『産業の成長』『需要の拡大』『医療技術・医薬品の革新』など、社会保障費全体の予算増を抜きに見直しを進めれば『負担は高いほうに合わせ、給付は低いほうに合わせる』ことを前提とした議論にならざるを得ません。
社会保障費の在り方とこれを支える財政について、患者・国民の命を守り、医療・医薬品・介護等産業振興への後押し、そして地域の雇用を生み地方創生に資するよう方針を示していくべきです。
2点目は、妊娠・出産に伴う経済的負担の軽減と、国民健康保険の負担軽減がなされるからです。
国民民主党の掲げる少子化対策は、子を産み育てられると思える給与の確保と、徹底的な 子ども・子育て支援を充実した結果、生まれる子どもの数が増えることです。
今回の改正では、出産にかかる費用について出産育児一時金が支給されても61%が持ち出しをしている状況等に対し、保険給付として分娩費を創設し、標準的な費用に係る給付体系の見直しによって負担軽減を図る措置が講じられます。また妊婦検診において、多胎妊娠への対応などの課題は残りますが、不妊治療中の方、不育症で流産・死産をされた方を含め、都道府県における周産期医療に関する協議会と連携をしながら心身のケアを含めて切れ目のない体制構築とサービス・費用の見える化が図られます。
また、国民健康保険制度において、子どもにかかる均等割保険料の軽減が未就学児から高校生年代まで拡充し子育て世代の負担軽減がなされます。
3点目は、OTC類似薬に係る一部保険外療養の創設についてです。
国民民主党は、OTC医薬品の活用を通じたセルフメディケーションの推進による保険適応範囲の見直しと医療費の適正化を掲げています。一部保険外療養の創設によりOTC医薬品の利用を推進することで達成すべき最大の目的は、セルフメディケーションを推進することによって、国民の健康増進を図ることであると考えます。国民一人一人が、自身が受ける医療の内容とその費用について考えることで、より健康で豊かな生活を送れるようにすることが第一であり、その結果として、全体の医療費が削減されるというのがあるべき姿です。
また、一部保険外療養の制度が十分に機能するためには、医療現場にいる医師の方々が制度の趣旨を理解し、患者にOTC医薬品の活用を促すことが極めて重要となります。このため、本法律案附則の検討規定で勘案するとされている「医師や薬剤師の理解を深めるための取組」を進めることが求められます。あわせて、登録販売者の方の理解促進、より一層の質の向上を図っていくことも重要です。
これが進まなければ、今回の改正は、財源を確保するために国民一人一人の医療費給を削減するだけのものだという批判は免れません。
政府には、セルフケア・セルフメディケーション推進の体制整備や報酬体系、税制活用といった環境が整うことで、保険範囲の検討に取り組んでいただきたいと考えます。
このように、医療保険制度をはじめ、給付と負担の見直しに資する内容となっています。
しかし、令和7年度予算案で修正される事態を踏まえ、今回の改正で健康保険法115条高額療養費制度の支給要件・額について『とりわけ長期にわたって継続的に療養を受ける者の家計』と、より生活全体への影響を考慮する条文追加となっているにもかかわらず、現在示されている令和8年・9年の高額療養費制度の見直しについて、この条文の趣旨が不十分反映されている物とは言えません。
今般の制度見直し以前から指摘されてきた問題として、70歳未満の場合は複数の医療機関を受診したときなどに自己負担額が21,000円以上でないと合算ができないことや、多数回該当の仕組みにおいて保険者が変更になった場合にカウントが引き継がれずリセットされる、新設される年間上限が当面は償還払いとなる問題があります。
自己負担限度額の引上げ等を議論するならば従前問題と指摘のあった内容、新設制度の運用の整備を施行までに整えるなど、財源やシステム改修の課題を乗り越えこれらの問題の解消に向けた具体的な取組を早急かつ計画的に進めることを求めます。
また、高額療養費制度の見直しに係る議論においては、現行制度の枠組みを維持した上での自己負担額の在り方が主な論点となりましたが、かつての入院主体の医療から外来中心に変化し、昨今の医療の高度化に伴い、仕事との両立がしやすい治療といった受診・治療形態が変化している中では、現行制度にとらわれず、制度全般の在り方について議論すべきではないでしょうか。
さらに、高額な医療費が必要となった方や、病気や治療の影響によって収入が減少し生活困窮に陥った方、治療と就労の両立が困難な状況にある方などを支えるために、社会保障に求められることは、高額療養費制度だけにとどまりません。既存の各種支援策が確実に患者の方に届くよう、相談窓口の連携強化やアクセスの確保に取り組む必要があります。総理は質疑で、保険者のみならず地方自治体などと連携し機能強化を図ると答弁されました。社会保障全体の中で、高額療養費制度も含めてどのような支援体制が必要か、総合的な視点から改めて検討していかなくてはならないと考えます。
また協会けんぽへの国庫補助についてです。
本法律案では、令和8年度から令和10年度までの3年間、協会けんぽへの国庫補助に対する特例減額の控除額に、年500億円、合計で1,500億円を上乗せすることとしています。政府は、その理由として、近年の協会けんぽの財政収支が順調なことや、特例減額開始前であった平成23年度から平成26年度の4年分の額を反映するのだと説明しますが、これは実質的に過去に遡及して国庫補助を減らすことにほかなりません。
それだけでなく、現在の協会けんぽの財政収支は黒字ですが、2030年代には単年度収支が赤字になるとの見通しも示されています。政府においては、今後、新たな国庫補助減額や補助率の引下げなどを行うことがないよう、中長期的視点に立った対応を求めます。
以上申し上げまして私の賛成討論といたします。
(3120字)