- 中央アジア5か国(ウズベキスタン共和国、カザフスタン共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国、トルクメニスタン)では、旧ソ連時代に建設された耐震設計の不十分な建物が依然として多いため、地震発生時に大きな被害が生じることが懸念されます。これを背景に、2016年、中央アジア地域で国境をまたいで発生する可能性がある災害への備えのため、中央アジアの地域機関として緊急事態・災害リスク軽減センター(CESDRR)が設立されましたが、依然として、地域・国家レベルの大規模災害発生時の緊急人道支援の実施や諸外国からの支援の受け入れ及びその後の復旧・復興における域内協力の制度的・法的枠組み、さらに各国・各機関の具体的な役割を明確化した計画やガイドライン等が十分に整備されておらず、これら地域調整メカニズムを運用するための知識や情報基盤、実行能力が不足しています。
- 本計画は、上記センターを拠点として、中央アジア5か国の緊急事態対応当局に対して、機材、災害発生時の調整メカニズム、災害対応ガイドライン等の整備を実施し、中央アジア5か国が、大規模かつ越境的な災害に対してより効果的に備え、対応し、復興できるようにすることで、中央アジアにおける災害リスクを軽減します。特に、地震の災害リスク軽減に重点を置き、地域間の調整を促進しつつ、各国の地震に関する認識と備えを強化します。
- 今回の首脳会合及び首脳共同宣言(東京宣言)において、中央アジア5か国との互恵的関係を強化するために立ち上げられた「CA+JAD東京イニシアティブ」では、「グリーン・強靭化」、「コネクティビティ」、「人づくり」を重点3分野としています。今回の協力は、このうち「グリーン・強靭化」を具体化するものです。この協力を通じ、我が国と中央アジア諸国の友好関係の更なる強化に貢献することが期待されます。
12月20日に初めて首脳級で開催された「中央アジア+日本」対話(CA+JAD、カジャッド)・首脳会合に先立ち、12月11日(現地時間同日)、カザフスタン共和国の首都アスタナにおいて、飯島泰雅駐カザフスタン共和国日本国特命全権大使と、ヴァヴィエルニヤ・カタジナ国連開発計画カザフスタン事務所代表(Ms. Katarzyna WAWIERNIA, Resident Representative of UNDP Kazakhstan)との間で、供与額7億6,500万円の無償資金協力「中央アジアにおける広域災害リスク軽減のための体制強化計画(UNDP連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました。
(参考)中央アジア各国基礎データ
- ウズベキスタン共和国は、面積44.74万平方キロメートル(日本の約1.2倍)、人口3,710万人(2025年、国連人口基金)、人口1人当たり国民総所得(GNI)2,360米ドル(2024年、世界銀行)。
- カザフスタン共和国は、面積272.49万平方キロメートル(日本の約7倍)、人口2,080万人(2025年、国連人口基金)、人口1人当たり国民総所得(GNI)12,150米ドル(2024年、世界銀行)。
- キルギス共和国は、面積19.85万平方キロメートル(日本の約半分)、人口730万人(2025年、国連人口基金)、人口1人当たり国民総所得(GNI)2,150米ドル(2024年、世界銀行)。
- タジキスタン共和国は、面積14.31万平方キロメートル(日本の約4割)、人口1,080万人(2025年、国連人口基金)、人口1人当たり国民総所得(GNI)1,650米ドル(2024年、世界銀行)。
- トルクメニスタンは、面積48.8万平方キロメートル(日本の約1.3倍)、人口760万人(2025年、国連人口基金)、人口1人当たり国民総所得(GNI)8,390米ドル(2024年、世界銀行)。
