第10回太平洋・島サミット(PALM10)(結果概要)

7.18 (木) 20:40
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令和6年7月18日

1 ポイント

(1)7月18日、岸田総理大臣とブラウン・クック諸島首相の共同議長の下、第10回太平洋・島サミット(PALM10)が開催され、日本、太平洋島嶼国14か国、仏領2地域、豪州、ニュージーランド計19か国・地域の首脳等及び太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長が参加しました。
(2)PALM10では、PIFの「2050年戦略」に定められる7分野に沿って、 ア 政治的リーダーシップと地域主義、 イ 人を中心に据えた開発、 ウ 平和と安全保障、 エ 資源と経済開発、 オ 気候変動と災害、 カ 海洋と環境、 キ 技術と連結性の7つの分野を中心に議論を行うとともに、地域・国際情勢について議論を行いました。
(3)その上で、日本と太平洋島嶼国・地域が共通の課題に取り組みながら、未来に向けて「共に歩む」関係を確認し、議論の成果として「第10回太平洋・島サミット(PALM10)首脳宣言」及び附属文書である「第10回太平洋・島サミット(PALM10)共同行動計画」を採択しました。

2 各セッションの概要

(1)開会

 共同議長(岸田総理、ブラウン・クック首相)の開会の辞において、岸田総理から、地域を取り巻く環境が複雑化する中で、日本と太平洋島嶼国地域との関係を更なる高みに引き上げ、未来に向けて共に歩んでいきたい、地域の一体性、それを体現するPIFの「2050年戦略」を強力に支持する旨述べました。

(2)第1セッション(2050年に向けたPALMパートナーシップのビジョン - 共に歩む)

ア 岸田総理から、PALM9で「太平洋のキズナ政策」の下で表明した、しっかりとした開発協力と、5,500人以上の人的交流・人材育成を上回る7,500人の人的交流・人材育成が達成されたことに触れた上で、一つ一つの協力が太平洋島嶼国・地域の力になっていることが何よりも重要である旨述べました。
イ 太平洋島嶼国・地域から、PALMがこれまで果たしてきた先駆的な役割への高い評価、PALM9における日本のコミットメントの実現に対する謝意が示され、今後とも日本との協力を発展させていきたい旨の発言がありました。
ウ ALPS処理水の海洋放出について、岸田総理から、一連のモニタリング等でその安全性が明確に示されている、IAEAと緊密に連携しつつ、継続的な情報共有を積み重ねていくことで、太平洋島嶼国・地域の安心感を高めていく旨述べました。
エ 太平洋島嶼国・地域からは、日本との対話を歓迎する旨発言があり、IAEAを原子力安全の権威として認識した上で、科学的根拠に基づく対応の重要性で一致しました。

(3)第2セッション(「気候変動と災害」、「海洋と環境」)

ア 岸田総理から、太平洋島嶼国地域にとって「存続に関わる唯一最大の脅威」である気候変動に対する危機感を完全に共有する旨発言した上で、(1)防災能力の強靱化、(2)脱炭素化の推進、(3)島嶼国自身の取組の支援の3本柱からなり、日本の技術・ノウハウ・資金を総動員したオールジャパンの取組である「太平洋気候強靱化イニシアティブ」を表明しました。
イ また、岸田総理から、太平洋が安定し開放的であることは、日本と太平洋島嶼国・地域の平和と安定にとって不可欠であり、港湾が各国の主権のもとで透明性をもって管理され、アクセスが開かれていることが重要である、違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策などに共に取り組んでいく旨表明しました。
ウ 太平洋島嶼国・地域から、日本の取組に対して歓迎の意とともに、日本との協力を継続していきたい旨述べました。

(4)第3セッション(「人を中心に据えた開発」、「資源と経済開発」、「技術と連結性」)

ア 岸田総理から、「人間の尊厳」を守り強化するため、教育・保健分野における協力を引き続き進めていくとともに、日本と地域の間でこれまで実施してきた人的交流・人材育成のプログラムや今般新たに決定した太平洋島嶼国の若手行政官を対象とした人材育成を通じて、人と人との交流を更に拡大していきたい旨述べました。
イ 岸田総理は、透明で公正な開発金融やコルレス銀行の維持は、持続可能で強靱な経済発展の実現に不可欠であることを再確認するとともに、スタートアップ企業を含めたビジネスマッチングや地場産業の育成等にも取り組んでいく旨述べました。
ウ 岸田総理から、日本は、海底ケーブルを含む「質の高いインフラ」の整備を通じ、陸・海・空及びデジタル空間での連結性の強化に貢献していく旨述べました。
エ 太平洋島嶼国・地域からは、人と人の交流や人材育成を特徴とする日本の取組に対して歓迎の意が示されるとともに、金融、貿易、投資、インフラ整備等における日本との更なる協力への期待が表明されました。

(5)ワーキングランチ議題1(国際場裏での協力、「平和と安全保障」)

ア 岸田総理から、日本が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というビジョンを掲げる中、共通の価値・原則を有する太平洋島嶼国・地域と協力し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に共に取り組んでいきたい、WPSアジェンダの視点も取り入れつつ、地域の平和と安定に貢献していきたい旨述べました。
イ 日本と太平洋島嶼国・地域は、国連安保理改革の実現に向けた取組、「核兵器のない世界」の実現に向けた取組、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応などについて共に取り組むことで一致しました。

(6)ワーキングランチ議題2(PALM10後の展望)

ア 岸田総理から、日本として、今後3年間にしっかりとした開発協力と6,500人以上の人的交流・人材育成を実施することにコミットする旨述べた上で、PALM11前に、第6回中間閣僚会合を実施したい旨表明しました。
イ 太平洋島嶼国・地域からは、日本のコミットメントを歓迎するとともに、日本と太平洋島嶼国・地域の今後の協力への期待が示されました。

(7)閉会

 共同議長のブラウン首相から、PALM10における対話と本日得られた成果を歓迎する旨述べ、これを踏まえ、日本と太平洋島嶼国・地域のPALMパートナーシップの下、共に歩みたい旨発言がありました。
 岸田総理は、本日、日本と太平洋島嶼国・地域は、「2050年戦略」に一致する7分野をPALM10の重点協力分野に設定し、共有する将来ビジョンの実現に向けて、「共に歩む」ことを確認し、日本と太平洋島嶼国・地域とのキズナを更に強化していく決意を新たにする旨述べた上で、閉会を宣言しました。

(参考1)出席者一覧(国・地域:アルファベット順)

クック諸島:マーク・ブラウン首相
オーストラリア連邦 : ペニー・ウォン外相
ミクロネシア連邦:ウェズリー・W・シミナ大統領
フィジー共和国 : シティベニ・リンガママンダ・ランブカ首相
仏領ポリネシア : モエタイ・ブラザルソン大統領
キリバス共和国 :ウエリン・イテラエラ外務・移民省次官
ナウル共和国 : デイビッド・アデアン大統領
ニューカレドニア(仏領) : クロード・ガンベイ自治政府大統領付官房長(特使)
ニュージーランド : ウィンストン・ピーターズ副首相兼外相
ニウエ : ダルトン・タンゲランギ首相
パラオ共和国 : スランゲル・S・ウィップス・Jr大統領
パプアニューギニア独立国 : ジェームス・マラペ首相
マーシャル諸島共和国 : ヒルダ・C・ハイネ大統領
サモア独立国 : フィアメ・ナオミ・マタアファ首相
ソロモン諸島 : ジャーマイア・マネレ首相
トンガ王国 : フアカヴァメイリク首相
ツバル:フェレティ・ペニタラ・テオ首相
バヌアツ共和国 : シャーロット・サルワイ・タビマスマス首相
太平洋諸島フォーラム(PIF) : バロン・ディバベシ・ワンガ事務局長

(参考2)「2050年戦略」(「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」)

太平洋島嶼国が、将来に向けた共通の戦略として2022年(令和4年)に策定。7項目から成り、太平洋島嶼国の関心事項や問題意識が集約。

(参考3)別添

(1)「第10回太平洋・島サミット(PALM10)日本・PIF 首脳宣言」(英文別ウィンドウで開く和文仮訳別ウィンドウで開く
(2)「第10回太平洋・島サミット(PALM10)共同行動計画」(英文別ウィンドウで開く和文仮訳別ウィンドウで開く


令和6年7月18日

1 ポイント

(1)7月18日、岸田総理大臣とブラウン・クック諸島首相の共同議長の下、第10回太平洋・島サミット(PALM10)が開催され、日本、太平洋島嶼国14か国、仏領2地域、豪州、ニュージーランド計19か国・地域の首脳等及び太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長が参加しました。
(2)PALM10では、PIFの「2050年戦略」に定められる7分野に沿って、 ア 政治的リーダーシップと地域主義、 イ 人を中心に据えた開発、 ウ 平和と安全保障、 エ 資源と経済開発、 オ 気候変動と災害、 カ 海洋と環境、 キ 技術と連結性の7つの分野を中心に議論を行うとともに、地域・国際情勢について議論を行いました。
(3)その上で、日本と太平洋島嶼国・地域が共通の課題に取り組みながら、未来に向けて「共に歩む」関係を確認し、議論の成果として「第10回太平洋・島サミット(PALM10)首脳宣言」及び附属文書である「第10回太平洋・島サミット(PALM10)共同行動計画」を採択しました。

2 各セッションの概要

(1)開会

 共同議長(岸田総理、ブラウン・クック首相)の開会の辞において、岸田総理から、地域を取り巻く環境が複雑化する中で、日本と太平洋島嶼国地域との関係を更なる高みに引き上げ、未来に向けて共に歩んでいきたい、地域の一体性、それを体現するPIFの「2050年戦略」を強力に支持する旨述べました。

(2)第1セッション(2050年に向けたPALMパートナーシップのビジョン - 共に歩む)

ア 岸田総理から、PALM9で「太平洋のキズナ政策」の下で表明した、しっかりとした開発協力と、5,500人以上の人的交流・人材育成を上回る7,500人の人的交流・人材育成が達成されたことに触れた上で、一つ一つの協力が太平洋島嶼国・地域の力になっていることが何よりも重要である旨述べました。
イ 太平洋島嶼国・地域から、PALMがこれまで果たしてきた先駆的な役割への高い評価、PALM9における日本のコミットメントの実現に対する謝意が示され、今後とも日本との協力を発展させていきたい旨の発言がありました。
ウ ALPS処理水の海洋放出について、岸田総理から、一連のモニタリング等でその安全性が明確に示されている、IAEAと緊密に連携しつつ、継続的な情報共有を積み重ねていくことで、太平洋島嶼国・地域の安心感を高めていく旨述べました。
エ 太平洋島嶼国・地域からは、日本との対話を歓迎する旨発言があり、IAEAを原子力安全の権威として認識した上で、科学的根拠に基づく対応の重要性で一致しました。

(3)第2セッション(「気候変動と災害」、「海洋と環境」)

ア 岸田総理から、太平洋島嶼国地域にとって「存続に関わる唯一最大の脅威」である気候変動に対する危機感を完全に共有する旨発言した上で、(1)防災能力の強靱化、(2)脱炭素化の推進、(3)島嶼国自身の取組の支援の3本柱からなり、日本の技術・ノウハウ・資金を総動員したオールジャパンの取組である「太平洋気候強靱化イニシアティブ」を表明しました。
イ また、岸田総理から、太平洋が安定し開放的であることは、日本と太平洋島嶼国・地域の平和と安定にとって不可欠であり、港湾が各国の主権のもとで透明性をもって管理され、アクセスが開かれていることが重要である、違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策などに共に取り組んでいく旨表明しました。
ウ 太平洋島嶼国・地域から、日本の取組に対して歓迎の意とともに、日本との協力を継続していきたい旨述べました。

(4)第3セッション(「人を中心に据えた開発」、「資源と経済開発」、「技術と連結性」)

ア 岸田総理から、「人間の尊厳」を守り強化するため、教育・保健分野における協力を引き続き進めていくとともに、日本と地域の間でこれまで実施してきた人的交流・人材育成のプログラムや今般新たに決定した太平洋島嶼国の若手行政官を対象とした人材育成を通じて、人と人との交流を更に拡大していきたい旨述べました。
イ 岸田総理は、透明で公正な開発金融やコルレス銀行の維持は、持続可能で強靱な経済発展の実現に不可欠であることを再確認するとともに、スタートアップ企業を含めたビジネスマッチングや地場産業の育成等にも取り組んでいく旨述べました。
ウ 岸田総理から、日本は、海底ケーブルを含む「質の高いインフラ」の整備を通じ、陸・海・空及びデジタル空間での連結性の強化に貢献していく旨述べました。
エ 太平洋島嶼国・地域からは、人と人の交流や人材育成を特徴とする日本の取組に対して歓迎の意が示されるとともに、金融、貿易、投資、インフラ整備等における日本との更なる協力への期待が表明されました。

(5)ワーキングランチ議題1(国際場裏での協力、「平和と安全保障」)

ア 岸田総理から、日本が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というビジョンを掲げる中、共通の価値・原則を有する太平洋島嶼国・地域と協力し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に共に取り組んでいきたい、WPSアジェンダの視点も取り入れつつ、地域の平和と安定に貢献していきたい旨述べました。
イ 日本と太平洋島嶼国・地域は、国連安保理改革の実現に向けた取組、「核兵器のない世界」の実現に向けた取組、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応などについて共に取り組むことで一致しました。

(6)ワーキングランチ議題2(PALM10後の展望)

ア 岸田総理から、日本として、今後3年間にしっかりとした開発協力と6,500人以上の人的交流・人材育成を実施することにコミットする旨述べた上で、PALM11前に、第6回中間閣僚会合を実施したい旨表明しました。
イ 太平洋島嶼国・地域からは、日本のコミットメントを歓迎するとともに、日本と太平洋島嶼国・地域の今後の協力への期待が示されました。

(7)閉会

 共同議長のブラウン首相から、PALM10における対話と本日得られた成果を歓迎する旨述べ、これを踏まえ、日本と太平洋島嶼国・地域のPALMパートナーシップの下、共に歩みたい旨発言がありました。
 岸田総理は、本日、日本と太平洋島嶼国・地域は、「2050年戦略」に一致する7分野をPALM10の重点協力分野に設定し、共有する将来ビジョンの実現に向けて、「共に歩む」ことを確認し、日本と太平洋島嶼国・地域とのキズナを更に強化していく決意を新たにする旨述べた上で、閉会を宣言しました。

(参考1)出席者一覧(国・地域:アルファベット順)

クック諸島:マーク・ブラウン首相
オーストラリア連邦 : ペニー・ウォン外相
ミクロネシア連邦:ウェズリー・W・シミナ大統領
フィジー共和国 : シティベニ・リンガママンダ・ランブカ首相
仏領ポリネシア : モエタイ・ブラザルソン大統領
キリバス共和国 :ウエリン・イテラエラ外務・移民省次官
ナウル共和国 : デイビッド・アデアン大統領
ニューカレドニア(仏領) : クロード・ガンベイ自治政府大統領付官房長(特使)
ニュージーランド : ウィンストン・ピーターズ副首相兼外相
ニウエ : ダルトン・タンゲランギ首相
パラオ共和国 : スランゲル・S・ウィップス・Jr大統領
パプアニューギニア独立国 : ジェームス・マラペ首相
マーシャル諸島共和国 : ヒルダ・C・ハイネ大統領
サモア独立国 : フィアメ・ナオミ・マタアファ首相
ソロモン諸島 : ジャーマイア・マネレ首相
トンガ王国 : フアカヴァメイリク首相
ツバル:フェレティ・ペニタラ・テオ首相
バヌアツ共和国 : シャーロット・サルワイ・タビマスマス首相
太平洋諸島フォーラム(PIF) : バロン・ディバベシ・ワンガ事務局長

(参考2)「2050年戦略」(「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」)

太平洋島嶼国が、将来に向けた共通の戦略として2022年(令和4年)に策定。7項目から成り、太平洋島嶼国の関心事項や問題意識が集約。

(参考3)別添

(1)「第10回太平洋・島サミット(PALM10)日本・PIF 首脳宣言」(英文別ウィンドウで開く和文仮訳別ウィンドウで開く
(2)「第10回太平洋・島サミット(PALM10)共同行動計画」(英文別ウィンドウで開く和文仮訳別ウィンドウで開く


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