- 冒頭
第30回となる記念すべき「アジアの未来」の晩餐会で御挨拶する機会を頂き、大変光栄に思います。 - 日本と東南アジア
東南アジアは、言うまでもなく、世界の成長センターです。法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた鍵となる地域です。東南アジアとの関係強化は、石破政権における最優先の外交課題の一つです。
石破総理は、就任直後の昨年10月にASEAN関連首脳会議出席のためにラオスを訪問しました。それを皮切りに、本年1月にはマレーシア及びインドネシア、4月にはベトナム及びフィリピンを訪問しました。就任以来の8か国への外遊のうち、5か国が東南アジア地域です。
私も、就任以来、中国、韓国、フィリピン、パラオといった国を訪問しました。アジアの声に耳を傾け、様々な課題解決にむけて共に行動する、これが石破政権の基本姿勢です。 - 自由貿易
世界に目を向ければ、世界経済や国際貿易をめぐる緊張が高まっています。そうした中、日本は、自由貿易体制の維持・強化にリーダーシップを発揮していく決意です。
現在、アジアの力強い成長が世界経済を牽引していることは言うまでもありません。しかしながら、これは、自由貿易があってこそのものです。日本は、各国と力を合わせ、ルールに基づく、自由で、公正で、開かれた国際経済秩序を発展させてまいります。
そのためにも、日本は、WTO改革のみならず、CPTPPやRCEP協定、そして二国間の経済連携協定も引き続き積極的に推進してまいります。例えば、バングラデシュとの間では、昨年からEPA交渉を進めています。 - 対話と協調の外交
また、国際社会の分断と対立が今なお進んでいることを強く懸念しています。力による一方的な現状変更は、世界のどこであれ、決して許されません。
このアジアにおいても、北朝鮮による核・ミサイル開発、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試みをはじめ、安全保障環境は厳しさと複雑さを増してきています。拉致問題の解決も急務です。
日本は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を推進してまいります。これから、国際社会を分断から協調に導く外交、対話と協調の外交を展開してまいります。 - 結語
アジアの平和と繁栄を実現するためには、政府のみならず、企業、メディア、有識者を含む幅広い人々が対話と交流を通じ、相互理解を深めていくことが不可欠です。
この「アジアの未来」というフォーラムは、政治、経済、学界の垣根を越えて、率直な意見交換を行う場として重要な役割を果たしてきていただきました。主催者である日経新聞社をはじめ、関係者の皆様の御尽力に心から敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。
この記念すべき30回目のフォーラムが実り多きものとなりますことを心からお祈りをし、そして、「アジアの未来」フォーラムの更なる発展と、御列席の皆様の益々の御健勝、御活躍を心からお祈り申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。


5月29日、岩屋毅外務大臣は、日経フォーラム第30回「アジアの未来」の晩餐会に出席し、以下の挨拶を行いました。なお、晩餐会には、トンルン・シースリット・ラオス人民民主共和国国家主席、スランゲル・S・ウィップス・ジュニア・パラオ共和国大統領、モハマド・ユヌス・バングラデシュ人民共和国首席顧問、グエン・チー・ズン・ベトナム副首相、エンリケ・マナロ・フィリピン共和国外務大臣、マーリット・サギアムポン・タイ王国外務大臣をはじめとする各国要人が出席しました。
(参考1)日経フォーラム「アジアの未来」
日本経済新聞社が1995年から毎年主催しているアジア大洋州地域の政治、経済、学界のリーダーらが域内のさまざまな問題や世界の中でのアジアの役割などについて意見を交換し合う国際会議。
(参考2)参加した主な各国要人
- トンルン・シースリット・ラオス人民民主共和国国家主席(H.E. Dr. Thongloun Sisoulith, President of the Lao People’s Democratic Republic)
- スランゲル・S・ウィップス・ジュニア・パラオ共和国大統領(H.E. Mr. Surangel S. Whipps, Jr., President of the Republic of Palau)
- モハマド・ユヌス・バングラデシュ人民共和国首席顧問(Dr. Muhammad Yunus, Chief Advisor of the Interim Government of the People's Republic of Bangladesh)
- グエン・チー・ズン・ベトナム副首相(H.E. Mr. Nguyen Chi Dung, Deputy Prime Minister of the Socialist Republic of Vietnam)
- エンリケ・マナロ・フィリピン共和国外務大臣(Hon. Enrique A. Manalo, Secretary for Foreign Affairs of the Republic of the Philippines)
- マーリット・サギアムポン・タイ王国外務大臣(H.E. Mr. Maris Sangiampongsa, Minister of Foreign Affairs of the Kingdom of Thailand)