【北村外務報道官】冒頭、私(北村外務報道官)から一点、「こども霞が関見学デー」について御紹介します。8月6日(水曜日)と7日(木曜日)の2日間、小中学生を対象にした「こども霞が関見学デー」が霞が関の各府省庁等で開催されます。外務省でも各種プログラムを開催いたします。
具体的には、まず「外務省訪問プログラム」というのがございまして、そこではクイズ企画等を行う予定です。また、「さかなクン」による講演、3月のミャンマー地震の際に実際に現地で活動された国際緊急援助チームによるイベント、外交史料館でのミニ講座等を行います。
この他、外務省の関係機関としては、国際交流基金、JICA地球ひろば、また外国の関係機関としては、東京日仏学院、駐日ブラジル大使館、国連大学、リスト・ハンガリー文化センター及び日本アセアンセンターの各機関において、各種プログラムが開催されます。このような多彩なプログラムの開催を通じまして、次代を担う子供たちが外国の文化や日本外交に触れ、楽しみながら学ぶことができる貴重な機会となると考えています。
外務省で開催するプログラムの応募受付は7月22日、来週の火曜日までとなっていますので、ぜひ多くの小中学生の方々に御参加いただきたいと考えています。各プログラムの詳細につきましては、外務省ホームページをご参照いただければと思います。
冒頭発言
令和7年度こども霞ヶ関見学デー開催
参院選への外国からの干渉について(外務省の偽情報への対策)
【日経新聞 馬場記者】参院選への外国からの干渉についてお伺いします。今回の参院選でロシアからの選挙干渉が拡大しているとの指摘が一部の有識者や政党党首から提起されています。外務省も偽情報対策を含めて強化してきていると思いますけれども、今回の参院選を巡る問題について、政府として何か調査をされるお考えはあるのかお伺いします。
【北村外務報道官】本件に関する政府の立場、取組につきましては、本日午前中の青木官房副長官の会見の方でお答えしたとおりですので、私(北村外務報道官)からは外務省の認識、立場について御紹介します。
まず現状の認識ですけれども、この点につきましては以前に岩屋大臣が会見の場で御説明したことがあるかと思いますけれども、現在、地政学的な競争が激化し、外国からの情報操作による情報戦が恒常的に生起していると認識しています。そうした中で、外務省としては、我が国の重要政策に関する情報空間の動向につき、AI等も活用しながら情報収集・分析を行っておりまして、その結果も踏まえた、戦略的な対外発信を適時適切に行うことに努めているところです。
また、このような外国からの情報操作ということにつきましては、他の多くの国でも問題意識が高まっています。これまでも日本としては、G7などの国際的な多国間の枠組みや、あるいは米国などとの二国間の枠組み、そういう中で情報共有や対応能力の強化に向けた協議などを行ってきているところです。
外務省としては、引き続き、関係省庁とも緊密に連携をしながら、外国からの情報操作に対して、しっかりと注意を払いまして、必要な対処を行っていく考えです。
アステラス製薬社員への判決
【毎日新聞 田所記者】中国でアステラス製薬の男性社員とされる方の判決が懲役3年6か月ということで出たんですが、それについて日本の外務省から、在日本中国大使館に対して司法プロセスの透明化などいろいろ申し入れたとされますが、判決の内容についての受け止めですとか、今後日本としての対応について改めて教えていただいてもよろしいでしょうか。
【北村外務報道官】今御質問の件につきましては、本日、北京で金杉駐中国大使から既に御発言をされていると承知していますけれども、今日、7月16日ですが、中国北京市第二中級人民法院において、2023年3月に拘束された邦人に対する判決公判が行われ、スパイ活動を行ったとして、今御指摘のとおり、懲役3年6か月が言い渡された承知しています。
本件を含む一連の邦人拘束事案につきましては、これまで首脳レベル、外相レベルを始めとする様々なルートを通じ、邦人の早期釈放を求めてきたところです。今回、当該邦人に対して有罪判決が出たことにつきましては極めて遺憾であると考えています。
今回の判決を受けまして、今御質問にもありましたとおり、中国側に対し、改めて、当該邦人及び他の拘束されている邦人の早期釈放、拘留中の正当な権利の保障及び人道的な取扱い、また司法プロセスの透明性向上、これらを強く申し入れたところです。
海外に渡航・滞在する邦人の保護は日本政府にとって最も重要な責務の一つです。また、中国における邦人拘束事案は、日中間の人的往来や国民感情の改善を阻害する最大の要因の一つとなっています。政府としては、引き続き、様々なレベルで司法手続の透明性向上、拘束中の邦人の早期釈放を強く求めるとともに、当該邦人に対し、今後とも、邦人保護の観点からのできる限りの支援を行っていく考えです。
【共同通信 鮎川記者】ただいまの質疑の関連でお尋ねいたします。北京での判決公判に駐中国日本大使と大使館職員が傍聴に入ったと伺っていますが、日本政府が把握している限りで、この方がどういった罪に問われたのか、そのことについて御紹介できるものをお願いいたします。また先ほど、主要プロセスの透明性というお話があったんですけれど、これは具体的にどういったところを日本として問題視しているのかご紹介いただけますか。
【北村外務報道官】今御指摘のとおり、金杉駐中国大使及び在中国日本大使館の館員が今回の裁判を傍聴し、今、その判決の内容というものは中国側からは外に発表されていないと承知していますけれども、傍聴した範囲で、日本政府として、先ほど金杉大使の方から、今回の邦人がスパイ活動を行ったとして懲役3年6か月を言い渡されたということを御紹介させていただいたところです。
このように、今回現地の裁判というものにつきましては報道、プレス関係者の皆様にも公開されていないと承知していますし、また、一連の拘束理由等を含めて、様々な説明というものが日本と同様のレベルでは、外向けにはなされていないと承知していますので、そういう一連の中国側における取組について、日本側としては裁判の透明性、司法プロセスの透明性向上ということを、今回強く、改めて申入れをしたところです。