【岩屋外務大臣】冒頭、一つ御報告がございます。
現在、佳子内親王殿下が、ブラジルを訪問されておられます。本年は、日本とブラジルが外交関係を樹立して130年となる、日本ブラジル友好交流年です。
ブラジルは、世界最大の日系社会を擁する伝統的な友好国です。食料や資源にも恵まれ、価値や原則を共有する戦略的なグローバル・パートナーでもあります。
この3月には、ルーラ大統領を国賓としてお招きをしたほか、両国において、様々な記念事業も行われるなど、活発な二国間交流が行われております。先日は、私(岩屋大臣)から、歌手の相川七瀬さんに、友好親善大使の委嘱も行ったところです。
130周年の節目である友好交流年を通じまして、日本とブラジルの関係を更なる高みに引き上げてまいりたいと思っております。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
冒頭発言
日本ブラジル友好交流年
米国による国際刑事裁判所(ICC)職員に対する追加制裁措置
【共同通信 阪口記者】米国政府が、ガザの攻撃をめぐってイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状などを出したとして、ICCの判事4人に制裁を科しました。ICCは米国政府の対応を非難しておりますけれども、岩屋大臣、これまで赤根智子所長と連携にも度々言及されていると思います。この事案、米国政府の対応についての受け止めと、今後、日本政府としてどのように対応されていくのかお尋ねいたします。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】6月5日に、米国政府は、国際刑事裁判所(ICC)職員に対する制裁措置の対象者として、4名のICC関係者を追加するという旨を発表したと承知しております。
我が国は、重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のために、世界初の常設国際刑事法廷であり、我が国からは赤根智子氏を所長として送り出している、このICCを一貫して支持しております。
ICCがこれからも独立性を維持し、安全を確保しながら、その活動を全うできることが重要だと考えております。
このような観点から、御指摘の米国による対ICC制裁につきましては、これまでも様々なレベルで米側に働きかけを行ってまいりました。私(岩屋大臣)からも、ルビオ国務長官に直接問題提起をしたところです。
また、赤根所長とは、御帰国の際にもお会いして、ICCの活動を今後とも力強く支援していくということを伝えしたところです。引き続いて、赤根所長や他の締約国とも意思疎通を行いながら、この問題には適切に対応していきたいと考えております。
日・フィリピンRAA、日・イタリアACSA
【日経新聞 馬場記者】日本とフィリピンの円滑化協定と、イタリアとの物品相互協定についてお伺いします。本日の参院本会議で、それぞれ可決・承認されました。日本はフィリピン、イタリア両国と防衛協力を強化してまいりましたが、各協定及び協力強化の意義についてお伺いします。
【岩屋外務大臣】御指摘のとおり、今日、6日の参議院本会議で、日本とフィリピンとの部隊間協力円滑化協定(RAA)、そして、日本とイタリアとの物品役務相互提供協定(ACSA)がそれぞれ承認をされました。これで、今国会提出の全ての条約案件が成立を見たことになります。国会での熱心な御審議に感謝申し上げたいと思います。
まず、日本とフィリピンのRAAですけれども、これは一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすることなどを通じまして、共同訓練、あるいは災害救助といった、部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものでございます。
フィリピンは、シーレーン上の戦略的要衝に位置しておりますし、我が国とは価値や原則を共有する戦略的なパートナーでもあります。近年、我が国と安全保障・防衛協力も強化されてきております。総理にも御訪問いただきましたし、私(岩屋大臣)もまいりましたし、中谷防衛大臣も訪問しております。非常に要人間の交流が活発化しております。
現下のインド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえますと、日本とフィリピンとの安全保障・防衛協力の更なる深化は、とても重要だと思います。今回の日・フィリピンRAAの実施によりまして、こういう協力が更に促進されるとともに、インド太平洋地域の安定が強固に支えられることになると期待しておりますし、また、そうしていかなければいけないと思っております。
一方の、日本・イタリアのACSAですけれども、これは自衛隊とイタリア軍との間で、物品・役務の提供を行う際の決済手続などの枠組みを定めるものでございます。
この協定によりまして、両者の間で、物品・役務の相互の提供を円滑に行うことが可能となりまして、両者が、ともに活動に従事する現場でより緊密な連携が促進されることになります。
近年、日本とイタリアとの間では、安全保障・防衛分野での協力が大きく進展しております。GCAPという枠組みで、戦闘機も、これから一緒に作るということになっております。
今回の協定の締結を通じまして、両国間の安全保障分野での協力を更に促進するとともに、地域及び国際社会の平和及び安全に積極的に寄与していくことが期待をされておりますし、また、そのように運んでいきたいと考えているところです。