- マルコス大統領から、石破総理大臣のフィリピン訪問を歓迎した上で、協力がますます進展する両国関係は黄金時代を迎えつつある旨述べたのに対し、石破総理大臣から、25年ぶりにフィリピンを訪問できたことを嬉しく思う、温かい歓待に感謝する旨述べました。
- 続けて、石破総理大臣から、日本とフィリピンは共に米国の同盟国であり、法の支配といった根幹となる価値観を共有している旨述べた上で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、引き続き連携していきたい旨述べました。これに対し、 マルコス大統領から、両国の戦略的パートナーシップを一層強化すべく、幅広い分野で協力を進めていきたい旨述べました。
- なお、石破総理から、4月26日(現地時間)にカナダ・バンクーバーで生じたフィリピン人コミュニティのイベントに際する事案に関してお悔やみの言葉を述べ、マルコス大統領から謝意表明がありました。
現地時間4月29日午後5時日本時間同日午後6時から約85分間、フィリピン共和国を訪問中の石破茂内閣総理大臣は、フェルディナンド・マルコス・フィリピン共和国大統領 (H.E. Ferdinand R. Marcos, Jr., President of the Republic of the Philippines) と、フィリピン大統領府において、日・フィリピン首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです(少人数会合:午後5時から約25分間、全体会合:午後5時25分から約60分間)。なお、会談に先立ち歓迎式典が行われました。
1 冒頭
2 二国間関係
(1) 安全保障
イ この他、両首脳は、地域の安定に向けた抑止力強化を図る観点から、政府安全保障能力強化支援(OSAや防衛装備技術協力を引き続き重層的に推進するとともに、海上保安分野でも、拠点整備や能力向上支援、更には日米比での合同訓練を通じ、連携を深めていくことを確認しました。
(2)経済
石破総理大臣から、日本の経験や強みを活かし、マルコス大統領が目指すフィリピンの上位中所得国入りを強力に後押ししていきたい旨述べました。これに対し、マルコス大統領から、日本によるこれまでの支援に謝意が示されるとともに、現下の国際情勢も鑑みて、日本と経済分野での協力を一層深めることを重視していると述べました。両首脳は特に、以下の分野について議論を深め、今後の協力を確認しました。
ア 情報通信分野に関し、両首脳は、フィリピンにおいて、JBICが支援する海底ケーブル事業及びオープンRAN実証実験を通じた5G通信ネットワーク構築に日本企業が参画していることを踏まえ、フィリピンの経済強靱化のために官民連携を強化することで一致しました。
イ 資源・エネルギー分野では、両首脳は、フィリピン国内のLNG設備拡大に向け、官民で連携していくことの重要性を確認しました。また、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」を通じた協力や強靱なエネルギーサプライチェーン構築に向けた協力を両国で進めていくこととなりました。その上で、両国は、フィリピンにおいて、ニッケル等の鉱物資源事業を含む事業を進める上で、安定した事業環境が必要であるとの認識で一致しました。
ウ 防災分野について、石破総理大臣から、日本とフィリピンは自然災害が多いことを想起し、日本の経験・知見を活かして、フィリピンにおける治水や早期警報システムの整備を支援していく旨述べました。その上で、両首脳は、防災分野での協力を強化していくことで一致しました。
エ その他、両首脳は農産物分野での緊密連携や、フィリピンにおけるインフラ整備について官民連携して取り組んでいくことを確認しました。
3 地域・国際情勢
- 世界経済
両首脳は、米国の関税措置やそれに対抗する中国の報復措置が世界経済や多角的貿易体制に与える影響を踏まえつつ、経済分野について幅広く議論しました。石破総理大臣から、現下の情勢は、東南アジア各国に進出して現地の経済に貢献している日本企業にも直接的な影響を及ぼすことを指摘した上で、東南アジア諸国の声にも耳を傾けていきたい旨述べました。 - 東・南シナ海情勢
両首脳は、東シナ海及び南シナ海情勢についても議論し、力による一方的な現状変更の試みに反対することを確認しました。 - 日米比協力
さらに、両首脳は、日米比協力の深化も通じて、米国の関与も得つつ、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて協力を強化していくために意思疎通を続けることで一致しました。 - その他
両首脳はその他の国際情勢についても、引き続き両国で緊密に意思疎通していくことで一致しました。
4 大阪・関西万博
石破総理大臣から、4月13日に開幕した大阪・関西万博にフィリピンから多数の方が来日することを期待する旨述べました。マルコス大統領から、万博の成功を祈願するとの発言がありました。